第六十七話 自転車

第六十七話 自転車


最近、自転車を買った。
健康のため、節約のため、理由はどうあれ新しいことをするといろんな発見がある。

じろうの道草 第六十五話』で、先走って自転車の話に触れてしまってはいるがそこらの重複はお許しを。今週は、そんな自転車にまつわる話をしたい。

それではどうぞ。



「マウンテンバイク。」

自転車といったら、高校1年生の春休みまで遡る。
当時マウンテンバイクというものが世の中に出始め、若者だったボクはこの流行りに一瞬で食らいついた。ママチャリが1万円で買える時代にマウンテンバイクに10万円。高校生にとっては高額すぎて簡単には手が出せない。

春休みに短期集中バイトを探し、池袋西口<メトロポリタン ホテル>でベッドメイクのバイトを始めた。初めてのバイト、初めての社会、ちょっと大人になった気分だった。そこで稼いだバイト代すべてを費やし、やっと手に入れた”マイマシーン”。これで何処へでも行ける気になっていたが所詮人力。結局、家と駅の往復だけでしか活用されることはなかった。

こんなにも時間と労力を掛けての見返りが、こんな中途半端な自転車への想いが、期待しすぎていた自分にも落胆したのをはっきり覚えている。



「マイ自転車。」

そんな性格もあってか、自転車には移動手段というだけでそれ以上の印象がなかった。
ところが転機が訪れる。事務所の駐車場解約を機に自転車通勤にしてみようと奮起する。ここまでくれば話しは早い。クロスバイク(普段使いに適した速いヤツ)にするか、ミニベロ(タイヤが小さい洒落たヤツ)にするか、いろんな人に相談したところクロスバイクにたどり着く。坂が多い通勤路でストレスのかからない自転車、しかも毎日のこととなったらなおさらのこと。「そんな優雅に走るタイプじゃないでしょ!」と言われ、仰るとおりよくわかっていらっしゃる。

相模原の中古自転車店で安くて状態のいいものをネットで見つけ、翌日購入、自転車登録すべて完了。正味一日の出来事だった。どうせだったら自転車を楽しむ方向で自分なりの改造を施すことに。荷物を載せるカゴを後ろに取り付け、お尻が痛くならない柔らかくて大きいサドルに変更。軽いのが売りのスタイリッシュなクロスバイクを重くて野暮ったい仕様にしてしまった。あくまで毎日快適に乗るための”マイ自転車”。気分は”ヨーロッパの通勤風景”。
ということにしておこう。



「自転車生活。」

なんてことでしょ~
とにかく速くて、自転車の進化に驚かされる。一漕ぎでどれだけ進むのっていうくらい滑るような走りをみせる。風は気持ちいいし、秋の匂いはするし、落ち葉の上を走るとパリパリ音もするし。腕、肩、モモの筋肉も刺激され、ほどよい疲労感がたまらない。自転車じゃないと気付けないことがたくさんだ。

発見といえば、自転車の敵は””だということ。ちょっとの傾斜でも登りはツラい。車のときは信号を避けることに重きを置いていたけど、自転車ではいかに坂道を避けるかが重要ポイント。そりゃ主婦の方々にとって電動自転車の必要性がよくわかる。

駐車場を気にすることもなければ、身軽に出掛ける気にもなる。運動不足も解消とあらばイイことだらけの自転車生活。高校時代の格好つけるためにの自転車じゃなくて、日常にある自転車はとても新鮮で長い付き合いになりそうだ。



「まとめ。」

この気持ちをいつまで続けられるか。
発見することを忘れ、義務になったらネガティブなところが表立ってくる。なんでもそうだけど、どうせやるなら楽しいほうがいい。

もちろん車のほうがラクであることは間違いないのだけど、自転車には自転車の良さがある。そのことに発見できただけでもうれしい出来事。

間を取ってバイクだったら、車と自転車のイイとこ取りできるんじゃないかという思考。せっかく自転車の良さを感じていることだし、こういった考えはしばらく頭の中から払拭しておこう。

それではまた来週。

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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