第五十二話 受け継がれ

第五十二話 受け継がれ


夏休みはどうでしたか?
毎年のことだが、現実に戻るのにまだ少し時間がかかりそう。

この夏、ほのぼの出来事があったので、今回のコラムのお題にしよう。

それではどうぞ。



「那須高原。」

うちは両親揃って下町生まれ、下町育ち。
祖母とも同居、母方の実家も同じ足立区にあり、夏休みに田舎へ行くという選択肢がなかった。幼少時代、夏になると家族6人で温泉行ったり海に行ったり、うっすら記憶だけが残ってる。

子供たちの成長と思い出のため、またちょうどそういう時代だったのだろう。
父は、那須高原にロッジのような家を買った。夏休みには虫採りや川遊び、冬になると雪だるまを作ったりソリをしたりしたものだ。牧場で食べるアイスクリームが大好きで、釣ってその場で食べれる鮎釣りとか、本当に楽しかった。アーチェリー、手漕ぎボート、ゴーカート、乗馬など、いろんなことを体験したのが那須高原だった。

当時はいまと違って街灯もなければ森の中にポツンと家があるだけで、それこそ猿とかヘビとかがいるぐらいの山の中。こんな自然と触れ合う環境を整えてくれた両親に感謝しなければならない。

自分はなにかしてあげられてるか。。。すまんよ、息子。
いまはこれが精一杯!



「療養。」

もう40年以上経っている、思い出の家。
最近父が療養で過ごしていることもあり、ボク自身25年ぶり、家族を連れて訪れた。

都会の雑踏から離れ、空気のいい自然の中で過ごす父。
自らが頑張ってきた証というか、こういう老後の時間を作れていることに感心させられる。偉大だ!
悲しいかな、そんなところまで辿り着けていない自分。ファイト~!



「親子三代。」

上記でも述べた初めての体験。そのひとつにゴルフがある。
ボクが小さい頃、父と兄と3人でショートコースをよく回っていた。最長でも130yしかない9ホール。ここで、クラブの握り方やアプローチのやり方を教わった。大人になっても、ボクのゴルフはこの打ち方がベースとなっている。

このゴルフ場を息子と回ることになる。
父も見学するということで、父がボクに、ボクが息子に、初めてのゴルフが親子三代受け継がれている旨を、受付の女性に話をした。「ここもオープンして50年。そういうお客さん結構いるんですよ~。」と一緒に喜んでくれる。なんとも感慨深いやりとりだ。

昔より4ホール増えて、全13ホール。
初めてにも関わらず、パーを3つ取る息子。これをきっかけにゴルフに興味を持ってくれれば、大人になったとき一緒に回る楽しみが生まれる。父が元気だった数年前まで一緒に回っていたように、ボクも息子とそんな日が来ることを密かに願う。

思いがけない『受け継がれ』。
ボクにとっても忘れられない夏になった。



「まとめ。」

このサイトを作ってくれた制作会社の女性には、この話をしていた。
彼女も息子がいるので共感してくれたのだろう。『じろうの道草』コラムに書いてくださいよと、何回か打診を受けていた。

家族話が増えるのはコラムとして芳しくないかなと思って、スルーするつもりだった。しかしながら、なかなかこういうことって起こらないから、ボク自身の日記として、記録として綴らせていただいた。

歳を重ねることってまんざらでもないなと、大人になっても体験させられた一幕であった。

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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