第百十一話 クラッシュ

第百十一話 クラッシュ


一気に秋は深まり、もう半袖ではいられない。
延ばし延ばしにしてきた衣替えも、急いでやらねばと焦らされる。夏用のシーツや布団も来年まで押入れで冬眠に。

今回は、交通事故を見かけた話。
それではどうぞ。



「全面封鎖。」

雨が降る金曜日、車に乗って帰宅途中のある晩の出来事。
上り下り1車線ずつではあるが、国道とまではいかなくとも結構メインないつもの通り。家まであと500mというところで、警察車両が道路をすべて封鎖している。この道を全面通行止めにするということは、事件か事故か、それもかなり大きなものに違いない。野次馬根性が芽生え、回り道して逆の封鎖しているところまで行ってみると、高級車数台が道を塞ぐように衝突している様子。バスも巻き込んでの大事故発生。事故状況を察すると、停車しているバスを追い越そうとした車が対向車線の車と激突。さらに何台かが巻き込まれたと、勝手に推測する。

きっと誰かの運転が原因でこういう事態になってしまったのだろう。雨ということも影響したかもしれないし、ちょっとした不注意かもしれない。もしかしたらイライラして強引に追い越したという可能性もある。原因はどうあれ、金曜日の夜にこんな大事故を起こしてしまった本人の気持ちになってしまう、憑依型のワタクシ道草次郎。
事故相手は大丈夫だったのだろうか?
同乗者に子どもはいたのだろうか?
家族にどう報告するのだろう?会社には?
週末の予定は全部キャンセル?

もしかして父親の車だったりして?
余計なことまで考える。

車に関しては、昔から思うところがある。
『ノストラダムスの大予言』でも、馬よりもはるかに速い”車(Carmanie)”が世界を席巻すると記述にも残る乗り物。こんな1トンを超える鉄の塊が100km以上ものスピードで走れてしまうこんな大層な乗り物を、免許さえ取れば誰でも乗れてしまうのだ。世の中で当たり前になっているこのことが不思議でしかたがない。『どれだけ人を信用しているのだろう』と自分も運転するくせに、ずっと思い込んでいたことを言葉にする時がきた。

23秒にひとり、毎日3712人、ひと月で11万2千人、ということは、年間で135万人の人が交通事故で亡くなっている。世界中の合算の数ではあるが、調べた本人もびっくり。ウクライナとロシアの戦争での死者数でも50万人というのだから、どれほどの規模なのかがわかるだろう。

それでもボクは車を乗り続けるし、むしろ車好きの部類であろうと自覚している。結局何が言いたいかといえば、世の中クリーンな方向に向かっているようだけど、見えないところはグレーなもので構成されているということ。どんなことにもデメリットは存在してて、マイナスの部分ばかり取り上げると何もできなくなるし進化を否定することとなる。きっと事故が起こることは想定内で、そこよりも人類の探究や経済の発展に重きを置いたということなのだろう。

頭のいい人たちの決断は、理に適いすぎててすごいを超えて恐ろしくもなる。



「まとめ。」

コラムを綴っていくにつれて、話がどんどん逸れていく。
この事故を見て、自分も気をつけろというメッセージのように思えたのち、心の奥底に眠っていた疑問にたどり着いてしまったという次第。

飛行機もすべて地上に降りることができないほど飛んでいるようだし、原発もすごいパワーを持っているけど処理の仕方はわからないようだし。。。見切り発車もここまでくると、錯覚もするし麻痺もしてくる。

背に腹は代えられない人間の欲求。どこまでいくものなのか。

それではまた来週!

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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