第百九十七話 モノモノガタリ

第百九十七話 モノモノガタリ


毎週日曜日は『じろうの道草』コラムの日。

さて今週は、モノについて綴ろうと思う。
それではどうぞ。



「バイバイ。」

断捨離や引越しは、まさしく人生のおさらいタイム。
子どもと初めて行った遊園地のトーマスの袋、パリの父がギャルソンをしていたレストランのTシャツ、一目惚れして衝動買いしたキャビネット、師匠にもらったレコードなど、モノに物語がありすぎて振り返ることだけでも疲れてしまう。

""なんてストーリーの塊のようなもので、探している時からとにかく楽しい。最初は理想のものを片っ端に見ているだけであっという間に時間が過ぎる。そこから乗ってるイメージなんかしてみたりして、予算やら燃費まで考え出したらついに現実味を帯びてくる。

僕の場合は学生時代に乗っていた車が古かったこともあり、とにかく壊れた。走ってるといきなり停まる。その度レッカーしなければならないことが若干トラウマになっている。『昨日、〇〇にいましたよねー』とか絶対言われたくないから、街に馴染む目立たない車がいい。それでいてゴルフ場でも違和感のない車。となれば、日本車のセダンで色はシルバー。コンサバの極みのようなハイブリッド車。

運転してたら外見なんて見えないし、だったら運転環境をより充実させたい。選んだ車は、メーカーのコンセプトが『定年した人が都会でも贅沢にゆったり乗れる車』。大きくもなく小さくもなく、特段これといった個性もないこれぞまさしく”おじさんカー”。木のハンドルがシブすぎて、そんな貴方を探していた過去の記憶。

人生で一番ツラくて忙しかったとき、ともに過ごしてくれた時間にどれだけ救われたことか。そんな長年連れ添った戦友とも、来週お別れしなければならない。

あーかなしいわ



「まとめ。」

つい感傷的になり、思わず馴れ初めまで熱く語ってしまった。車とのエピソードは山盛りあるのだけれど、書き切れないのでハナから書くことを断念した。

少なくてもいいからすべて思い入れのあるモノに囲まれて暮らしていきたいと、今後の目標を見つけることができた。”とりあえず”とはおさらばしようと心に誓う。

読んでくださった人からしたら退屈なコラムになってしまったが、今回ばかりはお許しを。
最後までご精読いただき、ありがとうございました!

それではまた来週!

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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