第七十二話 ブルース・ウィリス

第七十二話 ブルース・ウィリス


そろそろ正月ボケは抜けてきたでしょうか?
ボクはまだまだボケてます。

今回のお題は、人気ハリウッド俳優”ブルース・ウィリス”の知らなかった本当の話。

ちょっと長くなりそうだけど、諦めずに最後までどうぞ。



「俳優のキッカケ。」

ブルース・ウィリスは、小さい頃から吃音症(きつおんしょう)を患っていた。
高校生になっても治ることはなく学校でからかわれることに。そんな生活を変えるようと、あえて吃り(どもり)を自らギャグにすることで生徒会長になるほど人気を博したという逸話がある。それでも口ごもることへの苦しみを抱え続けた。授業の一環である演劇舞台に立った彼は、舞台でセリフを言うときだけは言葉の詰まりが消えることに気づく。普通に喋れることに幸せを感じ、このきっかけが俳優を目指すこととなる。

『こちらブルームーン探偵社』というドラマの探偵助手の役を、何千倍という倍率の中からオーディションで選ばれたことがその後の人生を大きく変えることとなる。ドラマは4年も続き、エミー賞で主演男優賞を受賞。さらにドラマ放映中、出演者のデミ・ムーアと出会い結婚。この結婚を機にふたりは跳躍することとなる。デミ・ムーアは『ゴースト』、ブルース・ウィリスは『ダイ・ハード』で一躍大スターに。

アクションスターだけのイメージになることを嫌い、自らの出演料を大幅に削減して出演した映画が『パルプ・フィクション』。クエンティン・タランティーノ監督のファンであったという理由で役を演じ、映画は世界的に大ヒット。

この順風満帆な彼に、この後とんでもない事件が起こってしまうのであった。



「ターニングポイント。」

大活躍のブルース・ウィリスに、ディズニーからひとつの映画の主演だけでなく製作すべてを任せるという仕事の依頼が舞い込んでくる。撮影が始まるや否や、自ら選んだ監督と製作陣に不満を抱き大半を解雇。新たな監督とも折り合いがつかず、結局頓挫してしまい20億円もの借金を背負うこととなる。

借金相手でもあるディズニーに対し、ブルースは前代未聞の交渉をするのだった。これからディズニーが製作する3本の映画に、出演料を減らし無条件で出演をするというもの。この信じられない契約が、望んでいない出演が、俳優としての彼の人生を新たな方向に導くのであった。

その1本目がご存じ『アルマゲドン』。
その年の全世界第一位の大ヒットととなり、この映画だけで借金の金額などお釣りがくるぐらいの収益をもたらしたのである。とはいえ、あと2本の映画出演が残っている。驚くことに次に出演した映画は更なる興行収益を上げるのであった。

それがあの『シックス・センス』。
どんでん返しヒューマンホラースリラー映画ともいえる不朽の名作。借金を帳消しにするためとはいえ、大ヒットを連発してしまうブルース・ウィリスが凄すぎる。

迎えた3本目。
家族愛を描く映画『キッド』の中で演じる彼とは逆に、12年間連れ添ったデミ・ムーアとの結婚生活を終えることとなる。その後再び仲を取り戻したブルースは、元妻デミ・ムーアが再婚するアシュトン・カッチャーとの結婚式にも参加。ブルースも女優エマ・ヘミングと結婚し、家族ぐるみの付き合いをするようになる。その後、デミ・ムーアは離婚することになるのだが、別れたふたりの関係を回復させるためブルースは尽力したのだった。



「引退。」

そんなブルース・ウィリスだが、2018年以降、手当たり次第数多くの映画に出演し始めるのだった。
劇場公開にもならないほどの駄作の数々。演技力の低下も否めず、ファンからの怒りと失望を受けるほど。それもそのはず、その頃すでに失語症を患っていたのだ。認知能力と記憶力の減退でセリフすら覚えられない状態だったのだ。にも関わらず、3年で25本という多くの映画に出演したのは、永く共にしてきたマネージャーが個人の金銭的利益のためだったと明かされた。

彼の病気を知らせたのは、現夫人のエマ・ヘミングと元妻のデミ・ムーア。同時に自身のSNSを通じて、ブルース・ウィリスの引退を発表した。2022年3月のことだ。



「まとめ。」

ブルース・ウィリスを初めて知ったのは、ジョン・マクレーン演じる映画『ダイ・ハード』。セリフを覚えるほど何十回と観た。

上記以外でも『12モンキーズ』『フィフス・エレメント』『ジャッカル』『アンブレイカブル』、『シン・シティ』なんかもあったかな。これ以外にもどれだけ楽しませてもらったことだろう。ソフトバンクのCMで、ドラえもんになったときは衝撃的だった。

最後に俳優としてのキャリアを傷つけられてしまったかもしれないけど、別れた妻と現在の奥さんふたりに引退報告をして貰えるなんて、最高に幸せなことではないだろうか。吃音症をきっかけに俳優になり、失語症をきっかけに俳優を引退。ずっと病に苦しめられてきた人だから、きっと人間味ある器のデカい人だったのだろう。

まるで映画のような出来事をそのまま自らで演じているようだ。知らなかったブルース・ウィリスの人生を知り、さらに好きになったという話でした。

雰囲気的にアレだけど、まだ現存してらっしゃるのでご安心を。

Let it Snow, Let it Snow, Let it Snow~♫

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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