第三十三話 おじさん、万歳!

第三十三話 おじさん、万歳!


春の訪れを肌で感じられる気持ちの良い季節。
今回の『じろうの道草』では、やっぱりおじさん同士っていいなと思った出来事を綴ってみよう。



「誘われて有楽町。」

副主宰の知り合いで、名前は桂さん。
エッセイや連載などの執筆活動もしながら、タレントなどのインタビュアーなどもこなすマルチな編集者。ボクより一回り年上の彼にGOBサイトのことを話したら、グッドオールドボーイ流れで宇崎竜童さんのコンサートに行くことになった。

有楽町にある近代的な作りが美しい東京国際フォーラム地下のカフェで待ち合わせ。ボクは人見知りということもあり、ちょっと緊張気味でご挨拶。ただそんな時間はあっという間で、気さくな桂さんが一瞬で空気を柔らかくしてくれる。桂さんの知り合いふたりもここで待ち合わせしているという。ひとりは、桂さんが編集者として飛躍するきっかけをもらった恩人、朝日新聞社のさん。もうひとりは、リクルート時代の上司でアルバイト情報誌<From A>を立ち上げたMさん。フリーターという言葉を作ったのも彼らしい。大先輩方とのいきなりの出会い。新鮮である。

緊張、和らぎ、緊張のジェットコースターな精神状態の中、さんがいきなりビールを飲み出した。これからコンサート、しかも会ったばかりでビールとはさすがだ。間違いない。ボクは羨望の眼差しでさんに習い、全員分ビールを買って早速乾杯!

最高の出会いシチュエーション。



風のオマージュ。」

宇崎竜童コンサート2022。タイトルは『風のオマージュ』。
奥さんでもある阿木耀子さんがプロデューサーを務める。夫婦でひとつのプロジェクトに取り組み、3階までの会場すべてが満員御礼。本当にたくさんの人たちが観にきていて驚いた。

2部構成になっていて、前半は、今は亡き友人たちへ捧げたレクイエム。松田優作、根津甚八、原田芳雄、蜷川幸雄、元バンドメンバーなど、友人が亡くなるたびに曲を作ってきたものを初めて披露。後半は、作曲を手掛けてきた懐かしいものから最近のものまで。合わせて2時間以上ノンストップで歌い上げる。ダウンタウンブギウギバンド時代の曲は<ザ・ベストテン>でよく耳にしていたこともあり、その頃の思い出まで蘇る。

ここでニュースにもなってないことが、宇崎さんの口から発表される。本人曰く、2週間前に腸を切除する手術をして退院したばかり。傷口も完治するわけもなく、笑ったり咳したりするだけでいまでも痛いというのだ。ステージでのあの動き、さらに御歳76歳っていうのだから驚かされるばかり。よく考えたら、父親と同い歳。

凄すぎることだらけだ。



「グッドオールドボーイズ。」

コンサート終了後、桂さんの元上司Mさんが会食場所をすでに予約してあるとのこと。できる人はこういうところが違うなと、感心しながらお店に到着。個室居酒屋で、おじさんたちが話をするには隔離されたもってこいの場所。なにも言わずに生5つ。メニューもいちいち聞かず勝手に注文。すべてを割愛、無駄のないおじさん飲みの理想的な集い。

5人の飲みは、大抵2人と3人の2組に分かれてそれぞれ会話が進むことが多い。ボクはMさんに、リクルート時代の話を根掘り葉掘り聞きまくる。偉大な先輩の話は、実際やってきた経験そのもので興味深くとても勉強になる。あっという間に閉店になり、名残惜しさすら感じる始末。お酒がそんなに強くないボクだが、かつてないほどの大満足なおじさん飲み会になったのだ。

VIVA, Good Old Boys!
近いうち、また集まりましょう。



「まとめ。」

こんな日は、ボクにとって珍しい。
長い時間お酒を飲むと節々が痛くなり、早く帰りたくなるのが関の山。こんなのが何十年も続いているのだから、少なからずお酒の場に恐怖心を抱いている。それが時間を忘れ話に没頭していたなんて、ボク自身信じられない。

「自分のしてきたことを自慢げに話すおじさんが嫌い!」って若者からよく聞くフレーズ。正直ボクも苦手だ。ただし、今回一緒に飲んだおじさんたちにそんな人はひとりもいない。きっと優秀な人って、そういう下品な会話にはならないのだろう。むしろ、講演会を聴かせてもらったぐらい充実感満載で、マンツーマンということもありお宝のような時間を過ごさせてもらった。

人見知りなんて言ってないで、たくさんの人に会わなきゃいけないなと反省もした1日になった。


ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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