第九十一話 髭

第九十一話 髭


まだ5月なのに30℃を超える日もあって、春がどんどん過ぎ去っていく。
今年の夏は早くやってくると天気予報士が言っていた。

さて今回は、あることをキッカケに『髭』について話をしてみようと思う。

それではどうぞ。



「しばしのお別れ。」

ボクは本当に無精なもので、その名の通り20年以上”無精髭”を生やしてきた。
毎日の髭を剃る行為がとにかく面倒で、知らない間に髭があるのが当たり前になっていた。モコモコしてきたらトリマーで長さを揃える程度、この作業も週イチでやればいいほうだ。

そんなある日、息子の髭を剃ってあげる機会があった。息子同様くすぐったくて仕方がない、父にしてもらったはるか昔の記憶が蘇る。こうやってなんでも順繰りに巡ってくるものなのだなと、嬉しい気持ちにさせられる。こんなタイミングで、なんだったら自分も一緒に剃ってしまおうと思いつきのまま”無精髭”としばしのお別れ。長年連れ添った髭に対して、なんの執着も持っていなかったことに改めて気づく。



「髭歴史。」

髭にはとても興味深い歴史がある。
戦国時代、武将たちはこぞって髭を蓄えてきた。武威を誇示し男性らしさを主張するためのわかりやすいトレードマーク。ところが江戸時代に入ると位の高い武士から髭を剃る習慣が広がり、四代目家綱による<大ひげ禁令>たるものが発動。髭は野卑(野蛮で下品)なものになっていた。ところが、幕末に多くの外国人が来るようになり、その立派な髭を蓄えた姿から『髭=文明』というイメージに。男らしさからまさかの知的な方向にいくとは、こういうところからも外国人への憧れというものが植えつけられてきたのだろうか。

その後は時代背景に伴い、それぞれに訪れる髭ブーム。ヒッピー文化やバンドマン、キューバ革命のチェ・ゲバラなど、若者たちは髭に惹きつけられていったようだ。そして90年代に入ると、おしゃれな髭としてやってきた”無精髭風ブーム”。のちに中田英寿、ベッカムなどの流行が髭ブームを長期化させることに。スーツに似合う髭、手入れをした髭などは市民権を手に入れ、今日でも多くみられる髭姿。その反面、韓国ブームからくる美意識高い男子の髭脱毛たるものも目につくようになり、二極化してきているようにも思える。

にしても、髭を語る上で戦国武将からベッカムまで出てくるなんて大ゴトになってしまった。きっと筆者も、無精だからと言いつつ知らぬ間に流行にのっていたのかもしれないと、こうやって振り返ると恥ずかしくなってくる。。。



「毎日毎日。」

一度剃ったらこれが最後。
朝、髭剃りで剃っても夜にはもうジョリジョリしてくる。しっかり剃ったつもりでも、どこかに剃り残しがあると気になってしょうがない。こんなにも大変だったものなのかと実感しつつ、だから無精髭にしたのだと思い出したりもして。カミソリだと大体どっかがキレてたり、ヒリヒリしたりという問題も発生。その引き換えに、ツルツルになった顎もとの気持ち良さもこれはこれで悪くない。

もうすぐ50の歳を迎えるのだから、清潔感も必要になってくると自ら思い込んでいたのでいいキッカケになったと喜ばしく思う。またいつ復活するかわからないけど、しばらくはこのまま習慣になるまではがんばってみようと思う。

また~、会う~日まで~♪



「まとめ。」

髭って、あるなしで相手の印象はことごとく変化する。
世界を見ても、やはり戦う男は髭がよく似合うし強そうに見える。イタリア人みたいなモテ髭、働く男のガテン髭、社会から離れた伸びまくっているボウボウ髭から、実業家や成功者によく見られるエリート髭など、同じ髭でも見え方はいろいろ。

個人的に好きなのは、俳優さんのプライベートの髭姿。
映画やドラマなどの役柄とは違う、見たことない渋さを醸し出すあの感じがたまらない。

そんなこんなで、グッドオールドボーイの皆さん
あなたは髭を蓄えますか?剃りますか?

それではまた来週。

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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