第八十一話 Mr.ヌートバー

第八十一話 Mr.ヌートバー


コロナの影響もあり、延期の末6年ぶりのワールドベースボールクラシック(以下、WBC)が開幕された。

世界一を決める野球の世界大会。出場国20ヶ国(地区予選含め28ヶ国)ということもあり、サッカーの盛り上がりには及ばずとも個人的には同じぐらいのハイテンション。

今回はこのWBC日本代表の『ヌートバー選手』にクローズアップしてみようと思う。

それではどうぞ。



「ヌートバー選手。」

本名、ラーズ・テイラー=タツジ・ヌートバー。
メジャーリーグ セントルイス・カージナルスに所属する現役メジャーリーガー。代表に選ばれる資格のひとつ、両親のどちらかの国籍の国の代表になれるということで、母親が日本人である米国生まれのヌートバー選手が日本代表入りを果たした。日系メジャーリーガーからの選出という初の試み、栗山監督が渡米した際に候補選手全員と会って決めたと報道されていた。

日本名、榎田達治/えのきだたつじ。
祖父の名前をミドルネームにし、”たっちゃん”というニックネームで親しまれている1997年9月8日生まれの25歳。



「信じられない。」

ひと通りヌートバー選手の紹介をしたところで、ここからが本題。
みなみな様、想像してください。
「何かのきっかけでアメリカの団体に呼ばれ、ひとり日本人であなたはどうしますか?」
通訳がいるとはいえ言葉の壁がある。知り合いも友達もいない。文化もなにもかもが違う。そんな異国に訪れてたった一週間で、みんなのムードメーカーとなり、中心人物になることできますか?

ボクは想像するだけで恐ろしくなる。ひとりふたり喋れる人を探せたらそれだけで御の字。自分の居場所を見つけるだけで精一杯で、ムードメーカどころか馴染むだけで一年はかかりそうな気がする。それを現実にしているのが、今回の主役ヌートバー選手なのだ。

ヒットを打った際のペッパーミル(胡椒挽き)ポーズを持ち込みチームに一体感を生み出す。怪我を恐れないダイビングキャッチや闘志あふれるスーパープレーでみんなの士気を高め、試合前のエンジンの輪の中心にもなり、ベンチ内では人一倍声を出す。一番バッターとしての責任や国をかけた試合での成績、メジャーリーガーとしてのプライドなど、プレッシャーだらけのはずなのにそんな様子を微塵も見せない献身的な姿は涙もの。そんな陽気で奥ゆかしい彼だから、チーム内のみならずファンの心までワシ掴み。

もちろん筆者もそのひとり。



「国際大会。」

ワールドカップやこのWBCも、共に国をかけた国際大会。
スポーツに興味ない人もこういう時だけは観るという”にわかファン”もたくさんいることだろう。スポーツファンからしたら実はとってもうれしいことで、もっともっとスポーツの魅力や感動を知ってほしいと思っているはずだ。

スポーツのおもしろさって解説者に委ねられる部分もかなり影響しており、昨年のワールドカップの本田圭佑の解説がいい例だ。選手のそれまでの経緯や人間性、今の状況や心境まで試合を彩る更なる要素を与えてくれると、より感情移入できたり推しの選手を見つけられたりできる。そこに予定調和にはないハプニングや奇跡が巻き起こるので、思わぬ感動が生まれてしまうのだ。

日本の至宝、佐々木朗希からデッドボールを受けたチェコのエスカラ選手。本人の行動や日本選手の対応、観客のとった行動に思わず心を揺れ動かされてしまう。

まだまだ続く、WBC大会。
アメリカ戦もあることだし、しばらく目が離せない。



「まとめ。」

映画や舞台、音楽や漫画、書籍や番組などあらゆる感動があり、それぞれすべてが素晴らしい。
中でもスポーツでしか味わうことができないものがあり、ライブ、ストーリー、想いや感情、ハプニング、すべての要素を持ち合わせている特別なもの。音楽やアートにも通ずるけど、スポーツにも言葉の壁を越えるチカラがあることをヌートバーさんが教えてくれる。

抽象的な言葉ばかりで自分の語彙力に落胆してしまうが、、、
とにかくもっともっとスポーツが盛り上がってほしいだけなんです。

強引にシメたところで、それではまた来週。


ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
この記事、如何かしら?
  • キュン (3)
  • WOW (1)
  • NEW (1)