第三十一話パン子とポン子、ありがとう。

第三十一話
パン子とポン子、ありがとう。


いよいよ寒い冬から解放され、すっかり春の訪れを感じる。
春を連想させるのは、桜、卒業、入学、お別れ。

今日はこの中のお別れの話をしよう。



「うちの水槽。」

このコラムにもちょいちょい出てくるうちの水槽。
流木のアク抜きも終え、藻のような水草ウィローモスをこの流木に活着。水槽を大きくしたこともあり、水草もいろんな種類を育てることができる。育成のためにCO2(二酸化炭素)システムを導入。これを入れることで水草の光合成を促進させ、より酸素を生じさせる。水草自身の成長を助けるだけでなく、魚やエビ、微生物などの環境を支える。

このアクアリウムは本当に奥が深い。そもそもは、雑誌やアイドルプロジェクトでお世話になっていた出版社の役員の西尾氏から教えてもらったのがきっかけ。勝手に名前を出しているが、きっと許してくれることだろう。アクアリウムは魚を育てるのではなく、まずは水を育てることが重要なのだということを彼から教わった。バクテリア、ミネラルバランスを入れることで、水槽内の水は栄養満点、しかも微生物のおかげで汚れを分解してくれる。そういえば、インドネシア滞在中有名なアクアリウムの展示をやっていて、わざわざ二人で見に行ったのを思い出す。

ここまでやって、やっとスタート。



グッピー。」

ボクが手出しするのは、もっぱらアクアショップの買い出しや力仕事がメインといえよう。若干レイアウトに口を挟むが、すべては息子とママがしっかり管理をしている。

そこで息子が最初に選んだ魚はグッピー。初心者にはもってこいの魚。ヒレが大きく色鮮やかで綺麗なグッピーは、泳ぎ姿が美しく水槽を華やかにしてくれる。当初、ヒレの大きなオスばかりを育てていたが、ある日メスを購入しより自然に近い環境に。

そんなある日、ちゃんと見ないとわからないぐらいの小さな稚魚が生まれているではないか。初めての誕生に我が家はあたふた。生まれたてはほかの魚の餌にもなってしまうので、助けるべきかそのままにしておくか家族会議が開かれる。ただそんな心配は一瞬で吹き飛んだ。

グッピーの繁殖力はものすごい。一度に20匹程度産むと、あと2~3回周期に出産する。言い換えると、一度出産したら後2回は確実に産むのだ。放っておくと増えすぎてしまうこともあり、隔離せずにそのままにするという結論に達する。増えすぎ無限ループになりそうで、すでに心配し始めている息子。生まれたての稚魚をいろんな人に配ることも始めた。



「パン子とポン子。」

最初に出産したのが、2匹のメスのグッピー。
2匹ともお腹がパンパンでポンポンしている様子から、パン子とポン子とそれぞれに命名。うちの水槽で初めて繁殖してくれた。しかも計6回づつ出産をし、たくさんの遺伝子を残してくれた。そんなパン子とポン子が先日、亡くなった。

グッピーは繁殖力は強いけど、寿命は半年~1年。ネオンテトラで約2年とされているので、比較してみるとそんなに長いほうではない。パン子とポン子は、うちにいる間はずっとお腹の大きい状態で魚生を終えた。生命の誕生に感動をもらい、悲しいけど生き物の摂理を教えてくれた。

ありがとう。



「まとめ。」

先日、NHK教育テレビ『ギョギョッとサカナ★スター』という番組始まった。
進行はもちろん、さかなクン。そこに野々村夫妻の娘で『non-no』で活躍するモデルの香音さんがパートナー。音楽は、甲本ヒロト。昆虫好きの彼は、昨年さかなクンと会って意気投合。そんな流れから音楽を提供してくれたとのこと。方向は違えど、思慮深いふたりの会話を聞いてみたいと本気で思う。

まとめなのに、話がそれた。
生き物を飼うって可愛いし癒されるけど、旅行にはなかなか行けないしかなりの手間がかかるもの。それなりの覚悟がいる。その代わりと言ってはなんだが、得るものは貴重でとても大きな経験をさせてくれる。『人間は裏切るけど、動物は裏切らない。』と真剣に言っていた、ボクの尊敬するオサムさん。今のボクならわかります!と、お伝えしたい今日この頃。

今回のコラムは、実名を出したい欲求を抑えられなかったみたいだ。


ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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