第四話 都会の妄想

第四話 都会の妄想

いよいよ秋がやってくる。

夏が苦手なボクとしては、秋の長雨に喜び、うろこ雲に目を奪われる。
キンモクセイの香りなんかしてくるようなら、秋のフルコースが完成する。

なんなのだろう、この感じ。
きっと今も昔も変わらない、普遍的なものに触れるとどこかスイッチが入るようだ。



「江戸時代」

一度、話を寄り道させよう。

『ボクのヒト』企画に、
Q. タイムスリップできるなら、どの時代へ、何をする?
という質問がある。ボクは間違いなく、「江戸時代!」と答えるだろう。

武将や城、刀剣などに興味はなく、特段歴史が好きなわけでもない。
惹かれるところをあげるとしたら、”暮らし”そのものなのではなかろうか。

水道も電気もない生活だけど、ロウソクの灯りが新鮮だったり。
平家が敷き詰められた江戸の街を、上から見てみたかったり。
桶を背負った振売から魚を買ったり、悪名高い越後屋にも行ってみたい。
娯楽にまつわる文化の発展から、浮世絵や落語なども生み出された時代。

暮らしの興味は、いくらでもある。
その反面、病気や火事、災害、不条理な政治などには、苦しめられたことだろう。
小さいころ叔母とよく観ていた時代劇も大好きだったし、『JIN』の漫画やドラマは何度も観た。
そんなマメな人間ではないのに、江戸東京博物館へは突発的に足が向く。

きっと前世のどこかで、江戸の時代に生きていたことがあるのだろう。



「変わらない情景」

ビルが散々建ち並び、車もビュンビュン走ってる。
江戸時代とはまったく違う街だけど、今も昔も変わらぬ情景を見つけることができる。

天気の良い日に高速道路に乗ってると、やけに大きく「富士山」が見える。
しらす雲、いわし雲、入道雲。空を見れば、「雲」の表情で季節がわかる。
椿、桜、梅、ツツジ、ユリ。キンモクセイも、江戸時代にちゃんと咲いていた「花々」。
「海」「月」「台風」。「太陽」をちょっと格好つけて「陽光」というのもある。

はぁ~、じじクサい。。。
わかっちゃいるけど、こういうことに感動を覚えてしまう。



「妄想タイム!」

昔から変わらないコトに触れたとき、江戸にいる自分だったらどうしただろうと妄想が始まる。

どこからでも見える富士山へ行ってみたくなって、大きすぎて遠近感がないから、歩いていったものの足が痛くて戻ってくるボク。とか

風も雨もすごい台風の日、あまりにもすごすぎて「神よ、怒りを鎮めよ~」とか本気で祈ってそうだし。とか

違うバージョンだと、
うろこ雲だったら、ビルや電信柱、山手線の線路も視覚から全部消して。木造平家に道路は土、江戸城の奥に上野の山なんかも見えるようにしてしまう。とか

都会にいるからできる妄想タイム。


「まとめ。」

満たされた中にある、<A>という幸せ。
抑制されている中にある、<A>という幸せ。
同じ<A>という幸せのはずなのに、それぞれ違った幸福感。

世の中がコロナ渦の影響を受けまくっていることもあっての、外で『酒を呑める』幸せ。
妄想から、こんな時事ネタなんかも入れてみたりして。


まあ、勝手に幸せこしらえて、拾ったもん勝ちってぐらいで
ありんすおりんす!


ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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