【サンシャケ#24】干物の話

【サンシャケ#24】干物の話

数ある魚料理の中で、
あまりフォーカスされない干物。

旅館に行っても、
ほぼ朝しか出てこない干物。

若者ばなれも多少感じる干物。
しかし、ぼくたち釣り人はそのとんでもない美味しさを知っています。

静岡県は熱海市網代。
ここには干物銀座と呼ばれる干物屋が連なる道があって、ちょっとした観光スポットにもなっています。干物といえば網代。通なGOBなら知っているかもしれませんが、ここの干物はとにかくうまいのです。

なかでもぼくが夢中になったのは、銀座からすこし離れた場所にあった「田村ひもの店」。サバみりんと確か大アジ、いや、えぼだいでもなんでも。とにかくおいしくて伊豆に釣りに行くたびに立ち寄っていました。若き日のぼくが、和牛ステーキと同等のランクとして位置づけるのだから相当。

釣り人から釣り人へ「あそこはうまい。特にうまい。」と、釣り人ネットワークの中で教えてもらったこのお店は、いつの間にか閉店。(?)

魚をよく知る釣り人が話題にするほどの実力をもったあの干物が食べたい。脂ののった新鮮な魚なのはもちろん、その味付けは天下一品。塩みもちょうどよく、最初のひとくちから最後のひとくちまで、ずーっとうまいが続きます。

きっと干し方にもこだわっておられたのでしょう。白飯がどんどんどんどん。
味噌汁をすすれば、味わいが深くなって、また干物をかじれば、旨みと脂でどんどんどんどん。
あー「田村」の干物がたべたい。
そんな思いでふと網代へ。

「田村」の干物は売ってないけど、ここは干物銀座。きっとおいしい干物に出会えるに違いない。数年ぶりの網代だったのでとりあえずググる。ぼくの目に映ったのは見慣れない横文字でした。

「ハイパー干物クリエイター」

なんというパワーワード。
しかもWEB販売での出荷は半年待ち。
もう気になって仕方ないです。

お店の名前は「干物屋ふじま」
ぼくの記憶では「田村」に通ってたころには、なかったような。少なくとも「ハイパー干物クリエイター」というワードは目にした覚えはありません。とにかくお店に直接行ってみる。もしかしたら買えるかもしれない。もしかしたら田村級の干物と出会えるかもしれない、そう思って小走りになります。

昔ながらのガラス戸のすきまから人影が見えて、「もし?」
そこにいらしたのは「ハイパー干物クリエイター」ふじまさん、ご本人。

たまたま催事の帰りで詰め合わせセットならば買わせてもらえるとのこと。迷わず購入します。キンメダイ・ビンチョウマグロ・のどぐろ・特選アジ・サバみりん・サバ塩 ..... 超豪華メンバーの干物が光っています。お店指定のこだわりの焼き方でやけば、香ばしい干物のかほり。

想像以上でした。
ハンマーくらいの衝撃のうまさ。

「田村」はうまかった。
けどその時の感動を思い出すか、それを超えるようなうまさ。超ジューシーでクセのない脂としっかりと魚本来の味を感じる繊細で品のある味付け。

白飯がどんどんどんどん。
あの時と同じ。

人間、一度最高と認めた味をこえるくらいの味に出会うことってめずらしいのではないでしょうか。本当にうまいけど思い出バイアスもあるはずの「田村」ですが、それに匹敵する「ふじま」の干物。やっぱり魚は刺身でしょ、を覆す超ド級のおいしさ。まるで今シーズンのジャッジです。

結局何が言いたいのかというと、うまいものの発見は財産であるということ。いろんなとこで釣りをしているとそういうことがたまにあります。

「田村」が買えなくなって何年も訪れなかった干物銀座。伊豆での釣りのときはまた網代に立ち寄ることがルーティンになりそうです。「田村」の干物の復活にも期待したいけど。

ちょーーおすすめです。

ima D (アイマディー)

東京都出身。
日本のルアーフィッシングシーンを席巻してきたルアーメーカー「ima(アイマ)」のディレクター。
釣りと同じくらいホットドッグが好き。

【Instagram】
ima D @ima_ams_d 
ima 公式 @ima_amsdesign
【 Web site】
http://ima-ams.co.jp
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