第百八十五話 ヨユウ

第百八十五話 ヨユウ


毎週日曜日は『じろうの道草』コラムの日。

さて今週は、とある日常のヒトコマより。

それではどうぞ。



「対話。」

趣味:人間観察
人が苦手なのに人を観察してしまう。本当は興味あるんじゃないかと錯覚しそうになるも、怖いもの見たさに似た感覚なのではないかと自らは認識しているつもり。

ある日、老人と中年のおじさんが席をひとつ挟み、お互いひとりで珈琲タイムを過ごしていた。白髪が似合う穏やかな老人は、小説を片手にゆったりとした時間に包まれる。カジュアルな格好の中年は、雰囲気からすると飲食店の店主かなにかの自営業か、一見すると若く見えるがそれなりに歳を重ねた好感の持てる40代前半といったところ。そんな他人同士のふたりがテーブルを挟んでなにか会話をしている。お互い前のめりになりすぎず淡々と話している様子は、まるでパリにあるカフェの情景そのもの。パリジャンだから絵になると思っていたが、いやいや日本人も捨てたもんじゃない。ふたりの表情、身振り、振る舞い、あまりにも自然体で年齢を超えたなんの思惑もない人と人との繋がり。同じ時間、近くに座った偶然の出会いを楽しんでいるかのような空気感。老人は読書を始め、若い方は考え事をする。そしてまた何かを思い出しかのようにひと言ふた言対話し、またお互いの時間に戻っていく。

ふたりとも、カッコいいっす!



「まとめ。」

本当のカッコよさって、こういうところに出る。
服装や身なりなどの上っ面の部分ではなく、内面から湧き出てくる人となり。心の余裕というか、懐の広さというか。初めて会った人に対して媚びるわけでも愛想を振りまくわけでもなく、それでいて相手の居心地も良くしてしまう大人たち。

グッドオールドボーイが伝えたいのはまさしくこういうことだと、目の当たりにしたとある日常。

いつもとは違う小説風なタッチでお届けしてみました
それではまた来週!

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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