
第百八十二話 わかっちゃいるのに
毎週日曜日は『じろうの道草』コラムの日。
今週のタイトルは「わかっちゃいるのに」
さて、なにがわかっててどうなってしまうのか。
それではどうぞ。
「くりかえし。」
『じっくり煮込んだビーフシチュー』
店頭の看板には美味しそうな写真とともにこんなキャッチフレーズが目に入ってくる。口がビーフシチューになってしまい頼んでみるけど、旨い!ということになったためしがない。『本場の味をそのまま再現!』なんて言われてしまうとこれまたどんなんだろうとまた頼む。『受け継がれる伝統の味』『ここでしか味わえない特別な一皿』『秘伝のレシピで仕上げた一品』結局どれにも惹かれ、同じ結果を繰り返す。
なぜなのか、一度落ち着いて考えてみる。
きっと想像や期待を勝手に膨らませすぎて、現実が追いつかないというジレンマに陥っているのではないだろうか。ある程度歳を重ねてきて、理想とする味や美味しいと思えるハードルが上がりすぎてしまっている可能性も否めない。
いやいや待てよ。
どれだけ魅力的なフレーズを並べられても、結局満足していないのであればもう一方の原因も探らねばならない。もしかして、相手の罠にまんまと引っ掛かっているっていうことはないだろうか。
美味しいものを提供したいという、開発している人たちの熱意はきっとあるはず。途中から現れてくる販売促進やプロモーション担当あたりから疑わしくなってくる。それもそのはず、商品をより売れるようにするのが仕事なのだから、イマイチだと思ったとしてもオーバーな表現で嘘でもなんでも売れたら勝ち、ごくごくあたりまえのこと。そりゃそうですわな。
『シェフ渾身のスペシャルメニュー 本日限定 5食!』
わかっちゃいるんですけどね~
「まとめ。」
気を引くのがプロモーションの目的。
そうでもしないと気づいてもらえないし、届いて初めて話がすすむ。手にしてもらったときがっかりしないのが理想的だけど、なかなかそう上手くもいかないのが現実。
この先どれだけ繰り返していくのだろうか
わかっちゃいるんですけどね~
それではまた来週!
