第百八話 馬

第百八話 馬


ずっと夏の話をしてたのに、すっかり秋めいてきた今日この頃。
残暑が過ぎたら秋はもう目の前。

今回は、初めてシリーズでテーマは『馬』。
ときたら。。。

それではどうぞ。



「馬。」

仕事に追われ、部屋に篭りっぱなし。パッと気晴らしをしたい。なにも考えない時間を作ろう。そんな感情が湧き出てきのだからまずはウチを飛び出してみる。こういうときは、過去にしたことがないことを経験するとなにか刺激を受けるはず。

そんなこんなで向かった先は大井競馬場。都会のど真ん中で、夜までやってるティンクルレース。東京シティ競馬その名も<TCK>。いつかいってみたいと頭の片隅に、心のどこか奥底に、仕舞ってあったひとつを掘り起こす。競馬自体もほぼやったこともなく、競馬場なんてもちろんいったことがない。だがしかしこんな機会はなかなかあるものではない。いま夜の18:30。急いでいけば19時すぎには到着できる。スケジュールを見たら最終出走は20:50。2時間は楽しめそうだ。

思ったより混んでおらず、まばらに人がいる程度。ちょうど良い、いや最高だ。競馬新聞を買い優しいおばちゃんから赤ペンまでいただき、パッと見こなれた競馬好き。パドックなんかも覗いたりするも、なんて可愛くて美しいのだろうとまるで動物園にいるようだ。走るために育てられた馬だからか、スリムで筋肉質、ピカピカ光る毛並みに目を奪われる。

ナイターに照らされた競馬場はものすごく広くて綺麗で、テレビの中で見たあの場所に自分がいると思うとテンションも上がる。おのぼりさんだとバレないようにしたくも、自然に顔はほころんでいたに違いない。可愛い格好をしたトランペットを持った女の子たちのファンファーレ。いよいよレースが始まる。

結果はなんと、馬連、3連複ともに当たって見事勝利。これぞビギナーズラック発動。残りは最終レースのみ。勝った分をそのまま費やすわらしべ長者作戦。。。のはずが見事撃沈。これでいいのだ。競馬場の目的のひとつであった”モツ煮”も売り切れ、なんとも締まりの悪い結末。ただ目の前を走り抜ける本気で走る馬の速さと迫力には圧巻で、鳥肌が立つほど感動ものだった。

最後に。
競馬の発祥は16世紀のイギリス。王侯貴族の娯楽として生まれたとされてる。馬に乗って競争しようと考えるなんて、なんと壮大でぶっ飛んだ発想なのだろうとエンターテイメントの探究心に感服だ。



「まとめ。」

初めての体験に、心躍るとはまさにこのこと。
コラムを担当してくれているima Dに連れていってもらった海釣り(じろうの道草 第九十四話)の時もそうだが、満足感と達成感にどっぷり浸かることができる。競馬といったらギャンブル。結果がすべてなのだろうけど、勝ち負けではないなにかに触れることができた気がする。

都会で、夜に、馬レース。
贅沢な遊びであり、むしろ高貴なたしなみにすら感じた競馬。

また息詰まったら、大井競馬場に戻ってこよう。
それではまた来週!

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
この記事、如何かしら?
  • WOW (5)
  • キュン (4)
  • NEW (4)