第四十六話 大事なのはクセ
あっという間に夏になった。
暑いのが当たり前になり、そろそろ身体も慣れてきたのではなかろうか。
さてさて今週は、学生が授業で発表するスピーチや小論文で取り上げるような課題<モノ作り>。
よく会話ではしているものの、文章にしたらどこまで伝わるのか想像もつかない。
まあ触りの部分だけになるかとは思うが、ちょいとお付き合いくださいまし。
「質問。」
早速、質問。
『ラーメン屋さんを開店することになりました。さて、どんなラーメン屋さんにしますか?』
選ぶことを補足すると、
<味>
しょうゆ・塩・味噌・鶏白湯・豚骨・豚骨醤油・ほか
<出汁>
鶏・魚介(各種)・豚骨・昆布・貝系・牛骨・ほか
<麺>
細・中細・中太・太・ちぢれ・手打ち・ほか
<タイプ>
中華そば・二郎系・家系・大勝軒系・各地域系・ほか
<客層>
若者男性・女性・家族・老若男女
<出店場所>
大都心・中心部・郊外・田舎・海外
<客席数>
5人・10人・20人・それ以上
<傾向>
話題性重視・地域密着型
などと書いてはみたものの、まだまだ永遠に終わらなそうだし選びきれないのが関の山。モノ作りをしようとしたら、決めなければならないことが山ほどあるということだ。
では、なぜこんな質問をしたのだとお思いになることだろう。ラーメン屋さんというのは、モノ作りに必要な要素を持ち合わせているからということにしておこう。
「求められる。」
ラーメン屋さんは、全国に35,000軒あると言われている。
開業して最初の1年で4割以上、3年以内になると7割以上の店が閉店する。10年以上続く店は、本当に選ばれし店であり、お客さんに『求められている』モノを提供できている証拠。
そんな特徴を持つお店に、圧倒的人気を誇る『ラーメン二郎』がある。
麺は極太、豚骨醤油ベースに、分厚いチャーシュー、山盛りの野菜、背脂、ニンニク、化学調味料がたっぷり入った人を虜にする中毒性のあるラーメン。”ジロリアン”と呼ばれる二郎ファンや”コール”と呼ばれる独特な注文方法など、独自のラーメン文化を作り出した。さらに、この二郎系を敬愛するラーメン店主たちが進化させた味”インスパイア系”と言われるモノも誕生しており、好きな人にはたまらない魅惑の世界があるのだ。
では、対局にあるラーメン屋さんとしてあげるとしたら名店中の名店、らぁ麺『飯田商店』はどうだろう。
場所は神奈川県湯河原という立地にありながらも、ラーメン業界のトップに君臨するこだわりが詰まったお店。選び抜かれた国産小麦を使った自家製麺、旨味の塊のような美しく澄んだ無化調スープ、あらゆるメディアで最高峰に君臨している殿堂入りのお店。店主の情熱と人柄も相まって、日本を代表する1杯がここにある。
どちらもラーメン屋さんだが、あまりにも違いすぎて比べようがない。共に、大人気でお客さんに『求められる』部分は違うが、他にはないそれぞれの魅力が集客に直結している。
そう、モノ作りにおいて重要な要素がこの『求められる』に集約しているのだ。
「クセ。」
とにかく、こだわり良質なモノなのか。
はたまた、何度もリピートさせたいのか。
さらには、忘れられないモノにしたいのか。
ただただ、好きだからっていうのもアリ。
選択は貴方次第。まずは、情熱を持って作り続けられるかという思い入れが大事。コンセプト次第できっと作るモノも質も変わってくるはず。モノが溢れる社会の中で新たなモノを打ち出すには、とにかく人の印象に残らなければ始まらない。SNSなどの発展で情報を拡散しやすくなってはいるものの、一過性で終わってしまうこともある。つまりは、人を惹きつけてやまない”クセ”が商品にあるかどうかがカギになるのだ。
<コーヒー><ビール><胡椒>などは、数百年前の”クセ”者元世界代表。<コカ・コーラ>なんかも苦味を活かした傑作商品と言える。時代を戻せば、<BABYMETAL>のように『ヘビーメタルなのに可愛い』という、”〇〇なのに~”も”クセ”になる要素を秘めている。刀職人が作る<包丁>なんていうもの説得力がある。
『求められる』=”クセ”
安心感・意外性・衝撃的・所有欲・希少性・違和感など、”クセ”になりうるものはたくさんある。これらを生み出すのが本当に難しいのだが、まずは意識して取り組むことが大事。手に入れることができたなら、あとは飽きさせないための新たなイメージ作りをすればいい。モノに”クセ”という特徴があるか、見直してみてはどうだろう。
人にも言えることで、ミュージシャン、スポーツ選手、芸人、博士、職人などなど、何かに偏ったクセのある人ってやっぱり魅力的でしょ。
なれるものなら、ボクもそうなりたかった。。。
「まとめ。」
食は、直感的に感じやすいということもありラーメン屋さんに置き換えてみたのだが、良かったのかどうか疑問は残る。しかしながら、現代においてモノを作るということがいかに大変なことかが伝わったのであれば、それだけで十分満足。
モノが人を豊かにしてくれる時代から、心の豊かさとはなんぞやと問われている最中でも、モノがなくなることはないだろう。モノ作りは素晴らしいことであり、日本のモノ作りを世界にもっと知ってもらうべきだと、ボク自身も尽力し挑戦しようと志しているひとり。本サイトGOBでも、なにか取り組みをしていこうとネットワークを広げている。
一緒に世界へ羽ばたいてくれる企業様、ご一報くださいませ!
訃報
2022年7月8日 17時03分
安倍晋三元首相がお亡くなりになりましたこと、心からお悔やみ申し上げます。