第百三十四話 ゴジラ マイナスワン。
毎週日曜日は『じろうの道草』コラムの日。
さて今週は、ネタバレしないよう映画『ゴジラ-1.0』の話をしてみよう。
それではどうぞ。
「叙情的。」
『信じられない!』
『観なかったら後悔してた!』
『なにも詮索しないでよかった!』etc.
いくらでも書けそうな『ゴジラ-1.0』の口コミ。集約すると、”すごく良かった!”のひと言に尽きる。
<エヴァンゲリオン>の庵野監督が監督した『シン・ゴジラ』に怪獣映画の可能性を見せつけられた2016年。怪獣が主役であり古き良きゴジラの現代版を『シン・ゴジラ』とするならば、今回の『ゴジラ-1.0』は人間模様をしっかり描いたヒューマン映画。ゴジラを題材にして、こうも違う映画を作ることができるのかと感動すら覚えてしまう本作。米国アカデミー賞の視覚効果賞を受賞したことにより再燃。昨年11月の上映開始から半年近くが経とうとしている中、いま映画館はほぼ満員状態。
さてさて、山崎貴監督をご存知だろうか。『ALWAYS 3丁目の夕日』や『永遠のゼロ』など、数多くの名作を輩出するヒットメーカー。ヒトの感情表現に、時代背景の描写に、ココロ突き刺された方も多くいらっしゃることだろう。視覚効果賞を受賞したこともあり、もちろんCGや音響も凄い。SF映画に求めてしまう、迫力というかジェットコースターのような爽快さというか、どれだけ非現実を味わえるか期待している部分あるだろう。正直、今回の注目ポイントはココではない。
戦後間もない時代を描いた『ゴジラ-1.0』は、なんとも叙情的で、懐古的で、情感漂う怪獣映画に仕上げてられてるのだ。怪獣を現実世界に落とし込んでいるのに、終わってみれば感動映画だったなんてまったくの予想外。そんなギャップを観ていただきたい。
『シン・ゴジラ』と『ゴジラ-1.0』どちらがイイとかワルいとか言うつもりもないし、それこそ愚問。ゴジラを180°違う視点で描かれた両作品の、それぞれの良さを拾ってみるのもおもしろい。
まずは騙されたと思って、明日にでも映画館に足を運んで観てはいかがでしょう
「まとめ。」
『ゴジラ-1.0』の感想付き映画紹介でした。
山崎貴監督自らこの作品の脚本まで手掛けたというのだから、どれだけ才能が溢れまくっているのかと感心してしまう。監督の作品にいつも泣かされてばかりいるのだから、完全にツボなのだろう。
映画紹介ついでに、ヴィム・ヴェンダース監督の『PERFECT DAYS』主演・役所広司もいかがでしょうか。これこそゴジラの対極にある映画。
それではまた来週!