第百二十話 あいまい。
今年もあと数週間。
信じられないぐらいのスピードで1年が経っていく。
さて今回は、そんな『錯覚』について綴ろうと思う。
それではどうぞ。
「ラッキーアイテム。」
「歳をとれにつれて、1年があっという間に過ぎていく」
昔からよく耳にするお決まりのフレーズ。たしかに学生時代を振り返っても、いまよりは確実に時間軸が長い様に思える。とはいえ、夏休みや冬休みの1ヶ月なんてあっという間に過ぎていくし、楽しい時間は早くてつまらない時間は長いのか。ということは歳を重ねた時間は楽しいから早いになってしまうし、それもなんだか違うような気もするし。。。巡り巡る。
「行きは長かったけど、帰りはあっという間だったねー」
こんなことを感じたことのある人、少なくはないことでしょう。行ったことのない目的地だとその差は歴然で、行きはあんなに遠く感じたのに帰りは近く感じることが多々ある。これはいったいどういうことだろう。
どちらも心理学的には用語になるくらい研究をされているみたい。前者は<ジャネーの法則>と言われ、時間の体感速度ではなく過去を振り返った時に感じる長さ、例えるなら15歳の1年と50歳の1年とでは1年の大きさが違うというもの。そこに日々の充実感や新鮮さなどの経験なども含まれてくる。後者は<リターントップ効果>と言われ、行きの時間の見積りが短い人ほど効果が大きく、平均でもだいたい20%ほど帰りは短く感じることができるらしい。映画も1回観た時より2回目の方が短く感じるらしい。
『人間って、なんて”あいまい”なものなのでしょう。』というのが率直な感想。つまりはそういうことで、結局はそんな白黒ハッキリしたものだけではすべてを語れないということ。この心理学的見解もあくまで傾向からの定義であり「100%こうだ!」というものではない。こんな世の中”あいまい”な部分ぐらい残しておいてくれないと、苦しくって仕方がない。
個人的な”あいまい”といえば、ひとつ自己暗示的なものがある。それは都心から成田空港に走る<成田エクスプレス>で、この電車を見た日は良いことが起こるというもの。気付いたのは10年以上も前になるのだが、すごく喜ばしいことがあったときを振り返ると、その朝には必ず<成田エクスプレス>を目にしていたのだ。それから意識するようになって日々を過ごすようになったのだが、未だ見たときは大なり小なり良いことが起こる。裏を返せば失敗しない日とも言えるので、少なからず自分の行動や決断のあと押しにはなっている。
『人間って、なんて”あいまい”なものなのでしょう。』再び。
「まとめ。」
<成田エクスプレス>は完全なる自己暗示。
まさにジンクス、なんの根拠もない迷信。だけど、こんな”あいまい”にすがった良い選択ができたこともひとつやふたつだけじゃない。どんなことでも決断をするって難しいことだけど、それって間違いを起こすことを恐れているからではなかろうか。その恐れを<成田エクスプレス>が解消してくれると思えたら、もう恐いものなし。その日の自分を真っ直ぐに信じることができる。
生きているだけで大変な世の中。
占いだろうとなんだろうと、信じるものは救われる。
”あいまい”にすがったっていいじゃない!
ちまたに溢れる詐欺だけは信じないで。
それではまた来週!