第百九話 学園祭
9月最後の日曜日。
来週はもう10月、早いもので1年の3/4が終わってしまう。
今回は、昨日行った『学園祭』の話。
それではどうぞ。
「学園祭。」
副主宰からの誘いで、女子校の学園祭に行くことになった。
彼の娘は高校2年生。アートに力を入れている学校の生徒で、写真部の部長。生まれた時から知っているのだから、いつも心は親戚のおじさん。となれば、手ぶらで行くのも野暮ってなもんで、前日ドンキホーテで差し入れを探すところからボクの学園祭は始まっていた。
知っている情報によると、彼女の好きなものは”グミ”。ここは大人の見せどころ、コンビニとかになさそうなグミを片っ端に買い物カゴに放り込む。あまりにも種類がありすぎて、ビニールに入れて渡すのもつまらない。何に入れて渡そうかとおもちゃ売り場で見つけたのが、ポケモンに出てくる”イーブイ”のバッグ。ゲームに出てくる登場人物の<ボタン>がいつも背負っているイーブイのバック。”グミ”をたくさん詰め込んで、そのまま渡すこととした。
翌朝09:30、学校に到着。
校門では受付で人がごった返す。イーブイを背負ったおじさんも列に並ぶ。自ら辱めている気もするが、アート学校というところがまだ救い。何事もなく入校することができた。向かうは一直線に写真部の部屋へ。娘っ子にイーブイを渡し、個人的な任務完了。部屋にはたくさんの写真が展示されているまさしく”写真展”そのもの。<水><火><雷><草><影>のテーマに基づき制作されたそれぞれの写真とコメント。各々の視点で捉えた写真は、純粋で、大胆で、繊細で、陽気で、詩的で、個々のパッションをおもいっきりぶつけられたようだった。心の中のフィルターを通した真っ直ぐな表現は、これぞ本人の持つ個性であり、根っこの部分なのだと気付かされる。写真を見せることを生業としてきた筆者ではあるが、本当に大事なものを思い出させてもらった。
その後、副主宰と娘っ子と3人で写真部のスタジオでポートレート撮影。その場でプリントアウトされ、おみやげとして渡された。この写真がまた良く撮れており、こういうのが娘っ子の結婚式とかのスライドで使われるんじゃないの、いやむしろ使ってほしいなどと気の早い話をしながら学校をあとにした。
「まとめ。」
何十年ぶりの学園祭。
”グミ”を持っていったものの、学校でお菓子は食べてはいけなかったらしい。そんなことも忘れてしまっているほど、学校生活とかけ離れていた月日の経過。
アート系の学園祭ということもあって、ボスターや案内板、催しものから装飾まで、嗜好を凝らした華やかな演出。感性豊かなかけがえのない時間を費やしひとつのことに没頭する情熱が、イーブイおじさんには眩しすぎた。
ありがとう、娘っ子!
また呼んでくだされ!
それではまた来週!