第九十五話 レトロ

第九十五話 レトロ


もう暑い。
梅雨の合間の晴れた日は、湿気が混じったジメジメした空気。
夏が苦手なのかもしれません。。。

さて今週のキーワードは『昭和』。
『レトロ』さ満載。

それではどうぞ。



「昭和レトロ。」

先日、池袋で開催されていた『昭和レトロな世界展』に行ってきた。
本サイトでちょいちょい登場する純喫茶ジャーニーの難波里奈さん。催しのお手伝いをし、さらにトークショーもするという連絡が入る。早速行ってみると、そこは人で溢れかえって大賑わい。懐かしい昭和の雑貨から、電化製品、レコード、アイドルグッズ、テーブルゲームが並ぶゲームセンターから、本物のスーパーカーまで、まるで昭和の遊園地。タイムスリップしたかのような空間に、お客さん同士なんとも言えない一体感が生まれる。人気老舗純喫茶のカレーライスやナポリタン、クリームソーダや小倉バターサンドなども大人気で、この貴重な機会を逃すまいと長い列をなしていた。

こうして振り返る昭和はなんだか素朴なのにポップで、このアナログ感が今の時代には新鮮に映る。



「右向け、右。」

新しいことへ邁進していた昭和の時代。
最先端を価値として、新しいものにみんなが一点集中するいわゆる「右向け、右。」というイメージ。よそ見しないでとにかく前に進むという、ノリにノッていた良い時代だったのかもしれない。

先日お会いしたアーティストの男の子。
話を聞くとデジタルアートより実際描いたものにしか惹かれないと言っていた。「なんかデジタルだと、血が通っていない感じがするんですよね~」というご意見。さすがアーティスト、視点が鋭い。”映え”だのなんだのの写真や動画が溢れすぎてるから、リアルなものにしか興味がないらしい。

こんな意見をおじさんの口から出そうものならただただ残念な人に映るけど、若者が言うとまったく違った意味合いに聞こえるから不思議。もしかしたら、今の現状に飽きている若者も少なくないのかもしれない。



「逆張り。」

こういう逆張り的なことって、”いま”が反映されているように思えてくる。
過去を振り返っても、若い頃特有の時代への反抗心みたいなものから新しい価値が生まれ、そこからムーブメントが巻き起こるという繰り返し。甘いものを食べたらしょっぱいものを食べたくなるあの感じ。どの時代を過ごしたかで、各世代の特徴やカラーといったものが少なからずあるような気もする。

いまを見て、自分はどうしたいのか。
各世代たちを見て、自分はどうなりたいのか。
目標、憧れ、反面教師。どんなカタチであれ、こういった原動力から変化が生まれる。以前コラムで書いた『パラダイムシフト』のように、必要でないものはいずれ消えていくのだろう。

『レトロ』が再注目されていることがとてもうれしい。
古いものが好きだからとか、その時代を生きてきたからとか、そこが理由ではない。本当に良いものが見直され大事にしようとする人が増えることで、古き良きモノゴトが無くならずに残っていくということがうれしい。もしかしたら、あったものが目の前から無くなることを見ていられないだけなのかもしれない。

お団子も、いなりも、お祭りも、東京タワーも残ってほしい。



「まとめ。」

『レトロ』に紐づけて、とっ散らかってしまった。
若いアーティストと話をして、とても得るものがたくさんあったしいろいろ考えさせられた。こういった出会いから、どうしても言葉に残しておきたくて今回のコラムで綴ってみることに。

昭和に限らず、大正、明治、江戸時代と、昔ながらの匂いや色が少しでも後世に残ってほしい。きっと外国の人からしたら、興味深い国に見えて仕方がないことだろう。

なんとなくまとめたところで、今週はここまで。

それではまた来週。

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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