第七十八話 口が変わった

第七十八話 口が変わった


正月を迎えたばっかりと思っていたけど、もう2月も後半に差し掛かる。
こんなんだと1年もあっという間に過ぎそうだ。

さてさて今回のお題は『口が変わった』という話。
ハプニングも交えながら綴ってみよう。

それではどうぞ。



「好みのステップ。」

よく耳にする『口が変わる』という言葉。
肉より魚、油っぽいものが受け付けなくなる、ジュースを飲まなくなる、など好みもさることながら身体の変化による影響も大きいと思われる現象。子どもの頃は好みがはっきりしていて、外食しても頼むものといったら大抵同じ方向に走ることが多い。そんな時期を経て、選ぶ楽しみを知りいろんなものに挑戦して振り幅を広げ、また『いつもの』みたいになってくる。そんなのを繰り返し、好みが絞られていくような気がする。そこに入り込んでくるのが、この”身体の変化”。

ここ数年薄々は気づいていたのだが、改めて再確認してしまったのだ。



「ニンニク。」

ニンニクのオイル焼き、醤油漬け、ガーリックライス、ペペロンチーノに餃子などなど、<ニンニク>料理は旨い。味は大好きなのに、10年前くらいからか食べると必ず胃もたれするようになってきた。ミートソースやチキンのトマト煮などベースに強い味があれば比較的大丈夫なのだけど、ガーリックが主役です!みたいなものになると胃に異変が訪れる。

好き嫌いとはまったく違う強制的な食の選択。ボクにとってのニンニクは”辛さ”みたいなジャンルに仕分けされてしまったようで、美味しい辛さもあるけどただ痛いだけの辛さはもはや食を超えてしまう。どちらかというとこちらへいってしまったニンニク。
悲しい。。。



「ハプニング。」

いつも行列ができているお店がある。
前の道を通るたびになんのお店だろうと思っていた。

そんなある日、たまたまその隣の店の用事を済まし帰ろうとしたらちょうど開店のタイミング。並ばず入れるということもあって何屋さんかも知らずに入店することに。看板には白地に黒でそばのイラストが描かれており、蕎麦かラーメンなんだろうなという情報だけが唯一の頼り。たまには何も知らずに入ってみるのもおもしろい。結果はラーメン。であればキクラゲなんかもトッピングし、カウンターで待つこと10分。

出てきたのは、なんと”じろう系ラーメン”だったのだ。野菜山盛り、分厚いチャーシュー、化調(化学調味料)バシバシに極太麺。ハマる人続出の大人気”ラーメン二郎”インスパイヤ系のお店だったのだ。もちろんニンニクがたっぷり盛られている。どうしよう。

じろう系なのに味はさっぱり和風だしスープ。美味しい。まずはニンニクを避けて野菜から食べ進める。山盛りのニンニクを可能な限りキクラゲの小皿に移し替える。チャーシューも食べ終え、いざ麺にいこうとすると残ったニンニク様が際立ってくる。食べてしまうとあとで後悔すること間違いなし。本当に申し訳ないけど、ここでギブアップ。

ほとんど残し、後ろ髪引かれながら店をあとにした。
ホントすいません。。。



「まとめ。」

なんのこっちゃな日だった。
お店は何も悪くない。ただ自滅しただけでむしろ失礼な話。だけど、楽しかった。

『口が変わった』影響がこんなところにも顔を出してきた。
今まで大丈夫だったものがダメになる。それは悲しいことかもしれないけど、受け入れていくのもまた必然。食だけでなく、生きていく上で何にでも当てはまることかもしれない心の整理。いやはや。

みなさん、口が変わっていませんか?
それではまた。


ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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