第五十七話 ポンドにご注意!

第五十七話 ポンドにご注意!


2022年9月8日
英国のエリザベス女王が、96年の人生に幕を閉じた。

国葬が行われ、女王を見送る多くの人々で沿道が溢れかえっていたと、ロンドンの友人が教えてくれた。いち時代に終わりを告げた。

そして、先日のGOB記事『この人、知ってる?』でも、紙幣の話をしたばかり。

ということで今回は、英国と紙幣を合わせて、”ポンド紙幣”について話をしよう。
ポンド紙幣を持っている人、気をつけて!

それではどうぞ。



「円安。」

外国為替市場で円安が止まらない。
バブル崩壊直後の1998年以来24年ぶりに、政府の円買いの市場介入が行われた。

ここ1ヶ月、この円安のニュースをよく目にしていたこともあり、この機会に旅行や出張のときの残りを円に換算したらちょっとは得するんじゃないかと、海外用の財布の中身をかき集める。こうなったら気分はゲーム感覚。どれだけ多くできるか一番高く買ってくれるところをネットで探し、換金を試みる。

ここからが、今回のコラムの本題だ!



「シン・ポンド。」

5・10・20・50
ポンド紙幣はこの4種類。金融大国イギリスは、10~15年ごとに紙幣のデザインを変え偽装対策も怠らない。日本でこれほど頻繁に変更することは、なかなかできないことだろう。もしかしたら自動販売機の存在が大きく関係しているのかもしれない。

2020年2月20日
20と50ポンド紙幣が、最先端技術を駆使したポリマー製に変更された。新紙幣が発行されると、英国では通常6ヶ月の期間を設け、新紙幣への交換を国民に促す。この期間を過ぎると、国内で旧紙幣は使うことができなくなる。ただ今回はコロナの影響もあってか、2022年9月30日まで利用期限が延期されていた。

では、この期限以降、旧紙幣はどうなるのか?
お店や街中では使えないが、イングランド銀行に持っていけば交換してもらえる。ほかの銀行や郵便局などでは、一旦、旧紙幣を送金して、のちに英国国内の個人口座に振り込まれるという。旅行者にはかなりのハードルの高さ、白旗、お手上げ状態。

ま、まったく知らなかった。いや、このことを知っている人がどれほどいることだろう。
っていうか、2022年9月30日ってもうすぐじゃん。。。



「換金ショップ。」

そんなこととはつゆ知らず、”円安”という理由で<換金ショップ>に足を運ぶ。店員さんから事情を詳しく説明され、”寝耳に水”の道草次郎。

使えなくなる直前なので、旧紙幣は換金することができないとご丁寧にお断りされてしまう。レストランなどのお釣りに旧紙幣で渡されることもあるので旅行者は気をつけてくださいと、リアルな助言をいただく。

ん~、困った。どうしたものか。
このまま指を咥えて「はい、そうですか!」と引き下がるわけにいかない。お金をドブに捨てるようなこともできない。そんなボクを見兼ねてか、この優しい店員さんが、銀行系列なら旧紙幣でも換金可能と近くの換金所を教えてくれた。ありがたや。

徒歩で10分、思いのほか近い。
結果、なんとか換金することができた。あと数週間遅れていたら、悲し過ぎる結末に。

清々しい気持ちで、銀座の街をあとにした。



「まとめ。」

エリザベス女王が描かれた旧紙幣。
名残惜しい気持ちもわかる。

『旧ポンド紙幣はあと数日で使えなくなりますよ~。日本で持っている人がいたら、急いでください、まだ間に合います!』

外国の統制力には、いつも感心させられる。
決めゴトのスケールがデカいというか、徹底してるというか。数人集まるだけで、意見が食い違うしまとまらないのに、国を治めるって想像ができない。いろいろあるけど、政治家ってすごい!

日本も大変な時代を迎えてしまったけど、なんとか乗り越えていきましょー

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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