【サンシャケ#19】釣りで着ないほうがいい服の話
ある日、
釣具屋にいった僕が見たのは陳列された無個性の服の数々。
黒と迷彩とアースカラーばかり。
まるでミリタリーショップです。
これはもう10年以上前からずっとこの状態。事実、釣り場で出会う釣りびとのほとんどがこの3パターンにはまります。
理由は「求めすぎた機能」のせい。
袖口から水が入らないように絞れてるとか、日焼け対策でキャップのつばが異常に長いとか、釣りアパレルならではのそういう機能はよしとしてカラーにまで制限がかかってるんです。
ルアー釣りをしていると、色の違いによって釣れる魚の数が変わったり、釣れる魚の種類が変わったり、たしかに魚が何らかのカタチで色を見分けていることがよくわかります。だから人間が派手な色の服を着ていると、すぐに気づいて逃げてしまうといわれているんです。釣具店でウェアの相談をすれば、こんな理由で地味色や保護色を勧められることもあるでしょう。
じゃあ、もっとも釣りに適しているウェアカラーは何色なのか。
黒は黒で他の色より虫に襲われやすいって実験結果もあるし、夏は太陽の光を吸収しすぎて暑くなるし。全身迷彩で揃えれば、街を歩くときに人の目線が気になるところ。万が一、山で遭難したら見つかりづらいデメリットもあるので、ちょっと差し色を入れたアースカラーが一番て感じか。
いや、ちょっと待て。
それってもう遊びじゃなくない?
釣りは遊びなんだから、ファッションも自由でいいと思うんです。極論、仕事帰りのスーツでもいい。逆にスーツに釣竿ってかっこいいんじゃないか、そんなことすら思ってしまいます。
いつかの釣り番組で、数学者のピーター・フランクルがこんなことを言っていました。
「世界中で釣りをしてきたが、日本人の魚を追い求める”執着心"は類を見ない」。魚を釣るための機能を追求しまくった結果、世界一の釣り道具をつくる国にはなれたけど、そのせいで遊びから競技にシフトしていってる感は少し残念。
僕の経験上、何色の服を着てたって警戒した魚はすぐ逃げていくし、黒以外を着ていても虫に刺されることはよくあるし。
釣りで着ないほうがいい服の話だけど、そんなものはないって結論です。
今釣りをやっているひとも、これから釣りをはじめるひとも思い思いの服装で楽しめば、少しは釣りのイメージもライトになるんじゃないでしょうか。
ちょっぴり熱く語ってしまいました。
数年後、
釣具屋でいろんなカラーのウェアが買えるといいな。