第二百二十三話 るーてぃん
毎週日曜日は『じろうの道草』コラムの日。
今回は、日常の片隅にある時間をクローズアップ。
それではどうぞ。
「小さな橋。」
毎日同じ時間に、同じルーティンを繰り返す。
そんな変わり映えしない生活を、退屈で窮屈でつまらないように思えてしまうのも無理はない。ただ物心ついて歳を重ねていくと、不思議なものでそう悪いものでもなくなってくる。
週に一度、必ず同じ場所を訪れる。外苑西通りを跨ぐように、車一台通るのがやっとぐらいの小さな橋がある。かつてSMAP『夜空ノムコウ』のMVに登場し、一時話題になった知る人ぞ知るマニアックな場所。
土曜日の09:45
この橋を通るたびいつもお見かけするひとりのご老人。暑い日も寒い日も橋の手すりに腰掛けて、いつも遠くを眺め物思いにふけっている。季節の変化なのか、街の移り変わりなのか、はたまた新国立競技場が好きなだけなのか。
その目はすべてを達観しているように柔らかくて優しくて、目の前に見えているもののさらに遠くを見ているよう。感情など微塵もうかがうことのできないまさしく半眼、仏さまと同じ目をしている。幸福も苦労もし尽くして、もう世相には執着していなそうな完全無敵のおじいちゃん。
自分もいつか、こうなれるかな
「まとめ。」
このご老人もルーティン
わたしは私でルーティン
そんなだからこそ、お見かけすることができたのだろう
一度会っただけではここまで深掘りできるものではない。繰り返すことで興味が湧き、観察し、注視する。そこから得るものは自分次第で想像以上に大きくもなる。
ルーティンから得られることは多すぎて、これだけでは語れない。あの不思議な花もあるし、そういえばあんな人も、とっておきの。。。また機会があれば、綴ってみようと思う。
それではまた来週!
