第百七十五話 男子禁制
毎週日曜日は『じろうの道草』コラムの日。
さて今週のお題は、思わずやらかしてしまった話。
それではどうぞ。
「聖域。」
朝、電車に乗った。
その日はやけに人が多く、階段を降りたらちょうどドアが閉まる寸前。なんとか乗れてひと安心、、、と思いきやいきなり不安に包まれる。発車してから辺りを見回すと、やけに視界がひらけてる。もしかしてと思った瞬間、窓に貼られた<女性専用車両 始発~09:30>と書かれたピンクの文字が目に飛び込んでくる。ついにやってしまった。
ハットを被ったロングコートの髭おじさんは、間違いなく注目の的、、、なのにみなさん見て見ぬふりをしてくれて、目線すら合うこともない完全アウェイな公共の異質空間。急いでこの場を離れたい心とは裏腹に、この電車はいつもなら便利とされる急行ときたもんだ。なんともいえない数分間が何倍にも感じれてしまう、まさに”精神と時の部屋(DB)”を体感させてもらった。
正直なところ、あの車両は間違っても乗ってはいけない。あの空間に入ったら、どんなことを言われてもなんの反論もできない絶対的聖域。乗った男性のほとんどが恥ずかしさと恐怖を同時に味わうことととなるだろう。
この車両ができた当時はニュースなどでも議論されていたが、その存在すらすっかり忘れてしまっていた自分が悪い。男女平等、女性の権利、コンプライアンス、いろんなものが混じり合ったこの場所は、日本で一番特別な場所なのかもしれないと、長かった次の停車駅を降りた瞬間安心感と共に頭をよぎった出来事だった。
あー怖かった
「まとめ。」
女性側からしたら、「はいはい、また間違って乗ってきた」ぐらいにしか思ってないのかもしれないが、こちらからしたら一大事。乗った瞬間犯罪者にでもなった気分と変な緊張感からかどっと疲れが押し寄せる。異質なものが体内に入ったとき排除しようとする、まさに『免疫反応』そのもの。もちろん細菌やウイルス側が自分であることは間違いない。
男性の皆さん、お気をつけあれ
くわばらくわばら〜
それではまた来週!
良いお年をお迎えくださいませ