第百六十六話 魅惑の空間

第百六十六話 魅惑の空間


毎週日曜日は『じろうの道草』コラムの日。

さて今週のお題は、いろんなことが巻き起こるあの場所。

それではどうぞ。



「バレてる」

ドラゴンボールで言うとこの<精神と時の部屋>、ディズニーランドだと小鳥が歌う<チキルーム>。
そんなファンタジーな世界であれば楽しいのだけれど、ある種これらにも似た不思議な場所と時間がある。それは<シャワータイム>がまさにそう。

シャワーを浴びていると携帯電話からも解放され、すべてを遮断したひとりの空間。考え事をするにはもってこい。アイデアが浮かばず悩みに悩んでいた仕事も考えが整理され、これしかないという決定的な答えがふと降りてくることも一度や二度ではない。仕事に限らず、記憶の奥底に仕舞われた出来事や感情などが、良いこと悪いこと関係なくいきなり蘇るものだから、急にあたふたし出す自分に焦ることもある。あのとき投げかけられた言葉の真意がいまさらになってわかり、なぜ当時気づけなかったのか本気で後悔することもある。すべてがいきなりなのだ。

それはきっとシャワーの水圧が頭を刺激し、お風呂とは違い目を瞑っているっていうのも集中力を爆上げしてくれる要因なのではないだろうか。そのせいか意識がどこかに行きすぎて、シャンプーをしたのか身体を洗ったのかを完全に忘れてしまい、思い出せないからもう一度洗い直すという始末。これはいまに始まったことではなく、小さい頃から垣間見られる奇妙な行動。シャワーを浴びればまた楽しい世界に連れて行ってくれるはずと欲を出して期待しながら入ることもあるが、そういう時は大抵なにも起こらない。

完全に見透かされているのだ



「まとめ。」

シャワーしているとき、背中に人の気配がして泡だらけの目を擦って必死に振り返ったこと、ありますよね~
アレって、本当らしいですよー

大人になって頻度は少なくなったけど、小さい頃はしょっちゅうだった。頭洗うとき、寝る間際、なぜかわからないけど、目を瞑ることがなんだかすごく怖くて。これってトトロと一緒で、子どもだから感じてしまう解明できないなにかなのだろう。なにもないところに向かって喋りかける赤ちゃんとか威嚇する犬とか猫とか、動画で観たことあるもん。

違う違う、そういう怖い話がしたかったわけじゃなかった。
とにかくボクにとってはの<シャワータイム>は、異世界に連れていってくれる窓口のようなものってこと。

呆れないで、今後ともおつきあいを
それではまた来週!

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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