第百六十五話 さて、どう描く?

第百六十五話 さて、どう描く?


毎週日曜日は『じろうの道草』コラムの日。

さて今週のお題は、ちょっとだけクリエイティブなお話。

それではどうぞ。



「さあ、どうする?」

先日、ブルーベリー農園からデザインの相談があった。
ロゴはもちろんのこと、ジェラートやお土産などにあしらわれる農園のデザインをどんなものにしたらいいか。イメージを膨らませ輪郭を整え、コンセプトも出来上がりあとはデザインするところまで持ってきた。このデザインを誰に描いてもらったらハマるのか、ここもまたいつも悩ます考察ポイント。

ふっとアタマをよぎったのがアート学校に通う副主宰の娘。第百九話『学園祭』にも登場した彼女にお願いしたら絶対ハマるという確固たる自信。いままでの経験上、こういうバシッと降りてきたときは必ずイイものが出来上がる。受験勉強の忙しい最中、描いてくれるというありがたい返事。

ターゲットは若い女性を中心に地元の人たちから都会の観光客まで、つまりはすべての老若男女。地元の暖かさや手作り感を損なわず、いかに洗練された親しみのあるモノに仕上げられるか。一見オシャレでスタイリッシュなだけの味気ないデザインにはしてはならない。包装紙や紙袋もいちいち可愛くて捨てられないぐらいのものを提供したい。創造力が試される。

これらを叶えるには、あえて手描きの『・・・』。詳細はまだ明かすことはできないが、向かう先は<東急ハンズ>。アクリル絵の具に3種の筆、同じメーカーのペンタイプも2種揃える。さらに、ポスターにも使えるぐらいの厚紙を10枚。店員さんに相談して見繕った画材用具一式を届け、学生時代に戻ったみたいに楽しすぎた一連の流れ。

ある程度の構想は伝えつつも、ターゲットど真ん中世代の彼女なりのセンス発想も注ぎ込みたい。修正などいくらでもできるから、思いきって描いてもらいたい。想いを込めれば込めるほど、自分の描いたイラストが世に出たときの喜びもひとしお、この感動は何ものにも代え難い。これから美術大学に進みデザインの仕事に就くのであれば、今後のモチベーションにも繋がるはず。

さあ、どんなものを仕上げてくるのか
いまから楽しみでしょうがない



「まとめ。」

完璧なものより、ときに不完全のものが上回ることがある
子どもの絵じゃないけど、プロのイラストレーターには絶対描けないものがある。青春を生きている今の彼女にしか描けない線がある。期待しているのはまさにココ。すべての案件に当てはまるわけじゃないけど、今回のケースでは唯一無二のクリエーションが完成するはず。

珍しく仕事に関連したコラムになってしまったけど、こうやってパズルがハマったときに「この仕事しててよかった」と心から喜びを感じる。

いつか紹介するのでお楽しみを
それではまた来週!

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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