第百三十七話 サクラノキセツ。
毎週日曜日は『じろうの道草』コラムの日。
さて今週は、絶賛満開中『桜の季節』の話をしてみよう。
それではどうぞ。
「桜のせい。」
今年は暖冬で、桜の開花が早いウワサもなんてことはなく平年どおり。
桜といえば、卒業式や入学式。感情的になりやすいこの季節、日本人にとって桜の存在は特別なもの。川沿いに満開に咲き誇る桜の木の下で花見をする人たち。呑めや歌えや1000年以上も前からこうして花を愛でてきたなんて、よく考えたらシブい文化だし、四季を楽しむ趣ある風習。あれやこれや考えながら川沿いに目をやると、入ってきたのは衝撃的な光景だった。
桜満開、ちょっと高台の緑道にはセーラー服の女の子がひとり。バレリーナのようにくるくる回りスカートをなびかせていたかと思いきや、姿勢はちょっと前屈み、目線は桜に目をやりながら、手を後ろに組んでまるで浅倉南のように歩き始めたではないか。わかっていただけるだろうか、スタッカートなテンポで歩くこのシルエット。まさに<花の子ルンルン>、もとい”ルンルン気分”そのものなのだ。現実にこういう動きをする人を初めて見た。
一瞬で我に返る。こんな漫画のような、はたまたアイドルのような動きをしているということは、撮影かなにかに決まってる。そうじゃないと合点がいかない。しかしながら彼女のまわりには誰ひとり、カメラマンなど一切見当たらない。ということは、桜も咲いて菜の花も咲いて、気分が高揚すると人はああいう動きをするものなのか。誇張した表現ではなかったということなのか。
自分の世界に入り込んでいた彼女。映画のワンシーン、アニメのひとコマ、時間にすると10秒とないすれ違いざまの異世界。世の中にある違和感は、どうしても目立つし記憶に痕跡を残していく。天邪鬼なボクにとって違和感は大好物。踊りがうまいとか、歌が上手いとか、そういう技術的な表現もイイのだけれど、無意識な動きの違和感に驚き、クセとなり、しっかり植え付けられてしまった。
もう一度、すれ違うことないかしら。
「まとめ。」
この衝撃を言葉でどれだけ伝えられるのか、ちゃんと伝わっているのかはわからない。
彼女の動きの表現力とボクの言葉の表現力では雲泥の差であることは間違いない。だって、目に焼き付くほどの光景だったのだから。
例えるならば、芸人いとうあさこがコントなどでしそうなぶりぶりした動きとでも申しましょうか。井森美幸が”ルンルン気分”を具現化したらきっとこうなるはず。たしか石橋貴明(タカさん)も。。。
とにかく、彼女をそうさせてしまったのは、
誰のせい?それはあれだ!桜のせい
統括すると『違和感はクセになる!』
それではまた来週!