第百二十一話 目の前に。

第百二十一話 目の前に。


2023年もあとわずか。
クリスマスプレゼントは決まりましたでしょうか。

生活をしていると、気になることが多すぎる。
その中でもずっと気になっていたある出来事について綴ってみようと思う。

それではどうぞ。



「もったいない。」

ある日の夜、お腹が空いたので蕎麦屋に入ると親子ふたりが目に入ってきた。お父さんはメガネをかけてちょっとインテリな装い。息子は小学生でパッと見塾帰り、駅まで迎えにきたお父さんとご飯を食べてるといったところ。ここまではあくまでこちらの推測でしかないのだが、彼らは最初から最後まで会話をしていない。会話どころか目すら合わさない。とにかくお互い携帯をずっといじっているだけなのだ。どちらかというと、息子の方よりお父さんの方が携帯に没頭。仕事をしてるかと思いきや、ずっとインスタの写真をスクロール。息子がチラッと目を向けても気づくそぶりもない。結局、一言も会話せず店をあとにしていった。

この日に限らず何度もこんな様子を目にすると、親子であればなおさらのことどうしても気になってしまう。どんな理由だとしても、相手の時間を無駄にしてしまっているようで、ほったらかしにするのはいかがなものか。

以前、仕事仲間と撮影のためロンドンにいったことがある。ポケモンGOがで出したころで、移動中ずっとモンスターを捕まえているスタッフがいた。行き着く先は車酔い、酔いから醒めればまたモンスター。ロンドンにしかいないモンスターを捕まえることは凄いことなのかもしれない。ただ、目の前に広がる建物、街並み、行き交う人々、ロンドンの空気感を記憶に刻み込むことよりも大事とはどうしても思えなかった。

とにかく”もったいない”がアタマに浮かぶ。余計なお世話なのは重々承知。だけど、目の前に大切なものがあるのに自ら拒否するというのは、どんな心境なのだろう。この瞬間のこの我が子とはもう会えないのですから。残りの人生、ロンドンに訪れることはないかもしれない。とにかく目の前のモノゴトを丁寧に、大事にしていきたいと思わされた出来事だった。

自分は自分、人は人
と言われればそれまでの話なのだが、あえてコラムに残したい。



「まとめ。」

いささか、熱く語ってしまった。
気になって気になって仕方がなかったもので、それこそこればかりは仕方がない。

携帯をイジることが悪いわけではない。目の前のものを軽視して向き合っていないことを”もったいない”と声を大にして言ってるだけなのだ。もちろん自分もすべてを直視できてるとは言い難いし、それで数々の失敗もしてきた。そんな人の失敗談を糧になにかを感じていただければそれで十分。ということで、今回はそんなお節介な内容になった次第でございます。

何かと忙しいこの師走の時期、お身体に気をつけてお過ごしくださいませ。
それではまた来週!

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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