第九十八話 パン
蒸し暑さ全開。
このままでいくと、今年の暑さが心配。
今回はテンポ良く『パン』の話をしてみたい。
それではどうぞ。
「パン。」
パンの記憶といったら、真っ先に浮かぶのが給食。
ご飯ものやソフト麺などが人気の中、パサパサしたコッペパンの日はちょっとガッカリ。そんな中でもすべてを凌駕する存在が<揚げパン>だ。揚げたコッペパンに甘いきな粉がかかっているアレ。どうしても食べたくて、息子に学校から持って帰ってこれるか聞いてみたほど。最近では当時の懐かしい給食を出す店もあるらしいが、小学校を卒業して以来一度も口にしていない。
それともうひとつ<チョココロネ>も印象的。巻き貝のようなシルエットに子どもゴコロをくすぐられ、食べてみては先っぽまでクリームが入っていなくて寂しくなる。何度も食べると知恵を働かせ、先っぽをちぎってクリームをつけてバランス良く食べるようになる。こんなところにも隠れた仕掛けがされている。
昔ながらのパン屋さんを発見すると、お腹が空いてなくてもなにかしら買ってしまう。甘いパンも好きだけど、優先的に手に取るのは調理されてる『しょっぱいパン』。カレーパンやウインナーロール、オニオンエッグにハムエッグ、焼きそばパンやコロッケパンなど、それぞれのお店で手作りされる微妙な違いを楽しみに食す。おかずと主食を一緒に食べられる手軽さも好きなのかも知しれない。
違いを楽しむといえば<塩パン>。たっぷりのバターが練り込まれた具のないパンだけど、これこそお店によって味が違う。どんなバターや塩を使うかで、違いがはっきり出るシンプルだからこそ難しそうなパン。この<塩パン>がとにかく好きで見つけたら必ず買ってしまう。
シンプルといえば、もっぱら堅いパンに惹かれる。ベーコンが入った<エピ>やイチジクが入ったあの堅いやつ。何個も食べるとアゴが痛くなるのはわかっちゃいるけど、あれば買うシリーズのひとつ。それと忘れてはいけないのが<食パン>の存在。バターにいちごジャムを塗っただけで相当おいしい。トーストすればさらに旨い確定。ハムやチーズを乗せてもいいし、ホットサンドまで発展したら少食のボクですら何枚でも食べてしまう。トマトやレタスなんかを加えてサンドウィッチ、ときたら『ピクニック』。ライフスタイルにまで関係を及ぼしてくる。
サンドウィッチといったら。
海外に出張など行くと、バケットにハムとチーズが挟まったサンドウィッチばかりを昼も夜も食べ続け、一週間連食しても大満足。どんな豪華な食事より、コーヒーと食べるバケットサンドに幸せを感じるのである。何を食べても、このシンプルな食べ物に戻ってきてしまうから不思議。
結局は本当の幸せなんていたってシンプルで手の届かないものではないのだと、バケットサンドに教えられる。
パン恐るべし。
「まとめ。」
とにかくシンプルなものが好きになってきた。
たけのこ、レンコン、椎茸にとうもろこし。焼いただけで格別、素材の味が染みるのだ。年配の人からよく聞いてはいたが、自分もそうなってきたと実感する。
旅行に行って楽しみなのは、夕食ではなくて旅館の朝食。ご飯に味噌汁、焼き鮭に納豆、のりに卵焼き、おしんこやひじき煮などがあればこれ以上ない豪華な食事と心から思ってしまう。完全にジジイ発言であることは承知だが、本当なのだから仕方がない。
良いのか悪いのかはまだよくわからないけど、2~3周していま原点に戻っている感じ。4周目に突入したら、ジャンクなものが最高と言い出しそうな気もする道草次郎。
それではまた来週。