第八十二話 シン・仮面ライダー
さてさて、ついにやってまいりました!
『シン』シリーズ『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』に続き、第三弾の『シン・仮面ライダー』が3月17日に公開されました。生誕50周年企画作品ということで、エヴァンゲリオンなどでお馴染みの庵野秀明監督が、原作を大事にしつつ仮面ライダーをどう手掛けるのか。
それではどうぞ。
「ひとり映画。」
第四十七話『シン・ウルトラマン』を綴ったのが去年の7月。まだまだ先のことと思っていたら、あっという間にやってきた『シン・仮面ライダー』の公開日。
会食が早く終わり、調べてみたらちょうど1時間後の上映スケジュール。その足でひとり映画館に向かう。初日だから混んでるかと思いきや程々の観客数、さすがに食事してきたばかりということもありポップコーンは完全スルー。一番後ろの真ん中の席に座り、いつもの映画泥棒の映像が流れ気分も盛り上がってくる。
はじまりはじまりー。
「本編。」
「兎にも角にも終始シリアス!」
一言でいうとこんな感想に辿り着く。予想外のアプローチにボディブローのようにじわりじわりと湧き上がる不思議な感動。一体なんなのだろう。
昭和の子どもの正義の味方「仮面ライダー」が、こんなにも人間味溢れる感傷的なヒューマンドラマとして表現されている本作。庵野監督の詩的で美しい映像は、『シン』シリーズの中でも群を抜いている。予告動画にもあるように、しっとりとしたピアノのBGMとも相まってグッと引き込まれる『シン・仮面ライダー』の独特の世界。
バッタの”マスク”にモコモコした”ライダースーツ”
ヒーロー全般に言えることだけど、普通にいたら完全におかしなヤバい奴。滑稽にも見える格好にも関わらず、仮面ライダーのちょっと切ない誕生ストーリーとのギャップが不思議な魅力となって観る人の心に刻まれる。
シリアスな役柄がハマりまくっていた仮面ライダー1号(本郷猛)を演じた池松壮亮。無表情なのに細かな感情の揺れ動き、悲壮感溢れる迫真の演技にすごい俳優さんなんだと改めて感心させられた。ヒロイン役でもある浜辺美波も演技派で知られる女優さん。彼女を初めてみた映画『君の膵臓をたべたい』での笑っているのに泣かせる演技に吹っ飛ばされたことを覚えている。仮面ライダー2号(一文字隼人)役の柄本佑もイイ味出てて、大人が響く大人のためのヒーロー映画。
ほかキャスティングがものすごく豪華。ネタバレしちゃうと勿体無いからあまり詳しいことは書けないけど、実はこんな人がやってたんだ的なサプライズが盛りだくさん。これぞ『シン』シリーズと思わせてくれる仕掛けがいっぱいで、これだけでも楽しめる。ストーリーは上述したとおり、仮面ライダーが生まれた起源の物語。幼少のころはただ戦っているのを観ているだけだったけど、こんな話があったのかといまさら点と点が繋がった。
入場者特典の『シン・仮面ライダー』カードも貰えて、オタク心を突いてきよる。
違うカード欲しいし、もう一回観に行こうかな。
「シン・シリーズ。」
『シン・ゴジラ』~『シン・ウルトラマン』~『シン・仮面ライダー』
主役の身体の大きさからいっても規模や壮大さは尻すぼみになってはいるものの、それぞれに良さがあり、どれも確実に印象に残るすばらしい映画。特に今回の『シン・仮面ライダー』は、より心に訴えかける仕上がりにしているように思えた。それでいて庵野秀明の世界観は一貫しているのだから、ファンにはたまらない最高のエンターテイメント。
いい映画をもっとずっと作ってくださいませ。
「まとめ。」
こうやって綴っていても、映画のシーンが頭をよぎる。
とにかく美しい映像に、オリジナルよりリアリティー(?)ある撮影小道具に、仮面ライダーもビックリすることでしょう。
もし『シン』シリーズを観ていない方いらっしゃったら、上記の順番で観るのがいいですよー。
あー誰かと語り合いたい。
それではまた来週。