第七十六話 プロの仕事

第七十六話 プロの仕事


あっという間に1月が過ぎていった。
受験生にとっては本番真っ最中。
もう少しで解放されるからがんばってー。

さて今回は、プロの仕事を目の当たりにしたという話。
それではどうぞ。



「引っ越し。」

マンションを引っ越すことになった。
12年以上住んでいたこともあり、それはそれは荷物がいっぱい。ソファに洗濯機、冷蔵庫、水槽など大物もたくさんある。かつては、2tトラックをレンタカーして友人集めて引っ越し作業。終われば、みんなでうなぎ屋などで飯や酒やで疲れた身体を労う。

そんなのが楽しかったが、みんな家庭持ちになりそうそう都合もつかない。こちらのスケジュールもあるので、今回は引っ越し屋に頼むことに。



「カルガモ。」

妻が選んだのは『カルガモ引っ越しセンター』。
大手引っ越し会社より安くてフットワークが良いとのこと。ここは完全におまかせ状態。ボクのやることとといったら自分の部屋の荷物をまとめる程度で役立たずにもほどがある。その代わり、ガス台や換気扇掃除、鍵引渡しの際の最終の掃除はおまかせあれ。

朝7時、大きなトラック2台が予定より早く到着。リーダーの指示のもと、4人全員がそれぞれの役割を無駄ない動きで淡々と作業を進める。ベランダの下にはトラックが配置され、大物はすべて窓から搬出される。次から次へと手際良く運び出される様は、まさに職人の技。見てて惚れ惚れするほどで、驚きを超えて感動すら覚える。一軒丸ごと荷物の運び出し&積み込みに掛かった時間はたったの25分。信じられない。その後の搬入もエレベーターのない3階にも関わらず、もちろんあっという間に作業終了。

若かりし頃、バイトで引っ越し屋をやってた時とは大違い。
これぞプロの仕事というものを目にしてしまった。



「最後の掃除。」

子どもの成長すべてがココにある。
引っ越してきた日のことを思い出しつつ、ひとつひとつの傷や汚れすらなんだか愛おしく思えてくる。物思いにふけながら掃除をしていると、部屋を内見したいと突然の来客。部屋を出る人とこれから入る人、大家さんと不動産屋さん。小一時間、話に花が咲く。そして、またひとりになり掃除を再開する。

しばらくすると、先ほど内見にきてた若夫婦が自分のところのお店のドーナッツをわざわざ届けてくれた。コーヒーを買ってなにもない部屋で食べたドーナッツ。最後の思い出までいただけることになるとは思いもしなかった。

長い間、ありがとう。



「まとめ。」

いままでで一番長く住んだ場所。
すべては終わりあるものだけど、どうしても寂しい感情も湧き上がってくる。そんな中、最後の最後にストーリーを作ってくれたご夫婦にこの場を借りて心より感謝申し上げたい。これからあの部屋で、お子さんふたりと家族の良い思い出をたくさん作っていくことでしょう。

なんの関連もないのに、想像するだけでなぜかうれしく思えてしまうワタクシ道草次郎。

それではまた来週!


ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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