第六十三話 銭湯

第六十三話 銭湯


いよいよ冬の始まり。
夜はコートが必要なくらい寒くなってきた。
そんな寒い日はいつものあそこへ。

ということで、今回は大好きな『銭湯』の話。
またまた話はあっちこっちに散らかるばかり。

それではどうぞ。



「ボクの銭湯。」

『銭湯』と聞いて、あなたはどんなイメージをしますか?

屋根からは煙突が突き出てて、数字の書かれた下駄箱で靴を脱ぐ。男湯女湯の暖簾をくぐると番台さんがいて入浴料を払う。脱衣所で空いてるところを探し服を脱ぎ、手に鍵を巻きいざ風呂場へ。天井は高く、女湯(男湯)とは高い壁で遮られているだけでお互いの存在は感じられる様子。壁にはお馴染みの富士山が描かれ、ケロリンの桶を持って赤と青のボタンのような蛇口を押して身体を洗う。熱い湯と通常の湯に分かれていて、基本かなり熱め設定。風呂から上がるとお待ちかね、牛乳・いちご牛乳・コーヒー牛乳の3兄弟に通称フルーツ牛乳(明治フルーツ)がエントリー。熱々の身体に冷えた一杯を飲み干し、首にタオルを巻いて『銭湯』を後にする。

ボクの『銭湯』はコレだ!



「シン・銭湯。」

では、先日行った『銭湯』を紹介しよう。

入り口はモダンでオシャレな作り。壁はダークグレイで統一され、一歩足を踏み入れるとヒーリング音楽が聞こえてくる。番台などなく販売機で買ったチケットを渡して入場。休憩所には人が溢れに溢れ、聞いたら2時間のサウナ待ち。清潔感漂う脱衣所で渡された鍵のロッカー番号を探しいざ風呂場へ。照明はかなり暗めブラックライトなども設置され、まるでクラブのようで足元はよく見えない状態。壁には富士山や市松模様といった昔ながらのモチーフを描いた現代グラフィックがペイントされている。浴槽は、通常、泡ボコボコ、横たわりなど小さめに区切られ、基本ぬるめ設定。風呂上がりは自販機でお馴染みの牛乳3兄弟+ひとりが飲める。モヤモヤした気持ちと共に首にタオルを巻いて『銭湯』を後にする。

ボクの『銭湯』はコレじゃない!



「さてさて。」

これはジェネギャか、好みの問題か。
時代に合わせた『銭湯』を考えカタチとなった新たな取り組み。改装前からよく訪れていただけにお客さんも実際かなり増え、客層も若者にシフトされているとお見受けできる。ということは成功ということなのか。経営する側からしたらかなりの挑戦だし大変だったことだろう。

ここでいつもの妄想タイム。
昨今レトロブームということで、昔ながらの喫茶店から町中華はじめ、車、家電、音楽、アミューズメントなどにも見られる古き良き時代の景色。パリの街などは多額の資金を投じ、国を上げて昔ながらの街を維持し歴史を残すことに価値を見出している。これが世界第一位の観光都市である最大の理由。京都なども景観を損ねないような取り組みもされているし、古いものこそ一朝一夕では作れないかけがえのない特別なものなのだ。

そんなのはみんな百も承知、わかっちゃいるけどやっぱり新しいものに目が向いてしまう。古いものって不便だし、維持するだけで手間がかかるし、当人からしたら無駄に面倒なだけということにも頷ける。それなのに、なぜこんなにも人を惹きつけるのだろうか。もしかして人の本能ではないかとも思えてくる。格好つけずそのままが価値であり普遍的な存在、また本質との触れ合いに感動すら覚えてしまう。

民間企業やクラファンなどの協力で守っていくことはできないかしら。

いつかは民俗文化財、文化庁にゴーゴー!



「まとめ。」

東京に『銭湯』は481件(2021年現在)あるとされ、その数は年々減少している。
東京都浴場組合の東京銭湯マップでは462件と表示されるので、今年に入ってさらに減ってしまったのかもしれない。

昔ながら続く銭湯や喫茶店、ほか残しておきたいところはいっぱいある。
伝統とか文化とかそんな重苦しいことではなくて、二度と作ることができないお宝のような貴重な存在なわけでしょ。だったらできるだけ原型をとどめつつ古くとも新しい歴史あるものとして蘇らせて、いつまでも残るものにしていきたい。建物も、人も、モノもできるだけ全部。新しいものはほっといてもできてくるからさ。

われわれ<Good, Old Boy>は、こんな取り組みもしていきたいと願っているんです。


P.S.
建築会社のカズ社長!(大学の先輩)
東京喫茶店二代目所長の難波さん!(純喫茶ジャーニー
一緒にやりましょうよ~

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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