『どこかの神様』 という...
オブジェ
今から20年数年前。
ボクが港区の《白金高輪》というエリアに住んでいたときの話。
"白金" なんてついてしまうと《セレブレティ》なイメージが先行してしまいますが〜、プラチナ通りから歩いて15分から20分ほどに位置する場所で、当時はまだ町工場や昔ながらの商店が点在する下町情緒漂う地域。近所のほのぼのとした商店街には、お爺ちゃんお婆ちゃんが営む青果店や魚屋が並ぶ "昭和の風景" が残るエモーショナルな街でございます。(*現在は開発が進み〜街並みは変わっております。)
あるとき、
この地域の人が主催する《蚤の市》に参加しない?と...ご近所さんにお誘いいただきまして。
そこに出店したのが〜『神様』との出会いでございます ww
土地柄なのか?
出店者の多くはご高齢のかたで、バラエティに富んだ渋めのアイテムがずらりと並んでおります。
1区画2畳ほどのスペースで、ボクの隣のブースには70前後の可愛らしい老夫婦。
お二人とも笑顔をたやさない穏やかな雰囲気なんだけども〜口数は少なめ。とくに接客をするわけでもなく、持参したポットからコーヒーを注ぎ足しながら...大人のいい時間を過ごしています。
あきらかに海外センスの、小洒落たアンティークの置物やブリキの玩具を出品していて、のっけから大盛況。どんどん売れていく商品のなかで、ひときわ異色の存在感を解き放つ《カラフルな物体》は〜、誰からも触れられることなく... ポツリ佇んでおりました。
ボクの出品したモノは大して売れもせず... 終わりの時間が近づく夕暮れどき。
隣の無口なお爺さんが《カラフルな物体》をおもむろに手に取り、突然ボクのところに。
『ずっと見ていたでしょう(笑)』
『これね ... "どこかの神様" なんだよ。大事にしてね。』
お代を払おうとするも〜微笑みながら手を横に振るばかり。
あれから20数年...
今も変わらず、お二人仲良くコーヒーを飲んでいる姿が目に浮かんでまいります。
皆さん、一目見ると『ナニコレ?』と決まって聞いてくる〜 正体不明な "ボクのモノ"。
ひとつ言えるのは『どこかの神様』ということだけ…