【サンシャケ#10】小さな隙間の話

【サンシャケ#10】小さな隙間の話

頭にネクタイを巻いてお土産を持っているお父さんはもちろん、ホームで傘をクラブに見立てスイングしているおじさんさえ見かけなくなりました。少しの暇があれば自分のワザに磨きをかけるあの姿勢、隣のサラリーマンやお姉さんの目線をちょっと意識しながらもゴルファーであることに誇りをもっている、そんな姿が僕は好きでした。でもきっと、令和になった今でも「街角ゴルファー」は必ずいる、そう信じています。

スマートフォンの普及で、スイングをやめて動画チェックしているとか、時代の変化もあり、まわりの目を気にしてグリップの確認だけ控えめにやっているとか。

練習方法が変わっただけで、ちょっとの暇があれば技術向上に努めているはず。そう思うのは、僕にも心当たりがあるから。

そもそも釣りにうまいとかそうじゃないとかあるの?って話をチラチラ聞きます。ラッキー要素が強いんじゃないか?とか。釣りをしない人はそう思うかもしれませんが釣りにも、ちゃんと「技術の差」があるんです。

わかりやすいのは、魚がいそうな場所に「正確に仕掛けを届ける技術」。僕のやっているルアーフィッシングでは「キャスティング」っていいます。

多くの魚は警戒心が強く、物陰に隠れていたりするのでそういう場所にルアーを投げられるかがキーになったりします。つまり「隙間」ですね。

だから街を歩いていると僕は「隙間」に目がいきます。この角度で投げたら入るなーとか、ちょっと手首を返してみたりして。
ビルとビルの間とか、ガードレールと地面の間とか、エレベーターが閉まる瞬間とか「わ!投げたい」ってなるんです。間違いなく「街角アングラー」ですね。

釣りは投げるだけでもとても面白いってことです。日本でゴルフと釣りといえばGOB向けの二大趣味。「打ちっぱなし」ならぬ「投げっぱなし」があったらいーなーなんて思う今日この頃です。

日本の今の釣り人口は約1000万人。どこかの偉い方、「隙間」産業どうでしょうか。

ima D (アイマディー)

東京都出身。
日本のルアーフィッシングシーンを席巻してきたルアーメーカー「ima(アイマ)」のディレクター。
釣りと同じくらいホットドッグが好き。

【Instagram】
ima D @ima_ams_d 
ima 公式 @ima_amsdesign
【 Web site】
http://ima-ams.co.jp
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