第二百二十一話 もってのほか

第二百二十一話 もってのほか


毎週日曜日は『じろうの道草』コラムの日。

今回は、秋の食材からのお話。

それではどうぞ。



「もって菊。」

大人になると、ジワジワわかってくることがある。
美しい景色を見たり、季節のうつろいを感じたり、温泉で疲れを癒すことがどれだけ幸せなことか。ただ子ども時分は、紅葉など見たところでキレイとは思うけどそれ以上でも以下でもない。それよりも、ソフトクリームやアミューズメントのほうが完全上位。まさに”花より団子”、ヒトが風流を楽しめるようになるには年月がかかるのかもしれない。

そんな風流にも似た旬な食材に出会い衝撃を受けた。先週に続き、棟梁のお宅に訪れるといつも旬なものを食べさせてくれる。その中に<もって菊>という食用菊があった。<もってのほか>とも呼ばれ、棟梁の出身山形からの産地直送。たくさんの細い薄紫の花びらは、花火のようにとても繊細で美しい。摘んだ花びらをちょっとお酢を入れたお湯にくぐらし、からし醤油につけていただく。シャキッとも、コリッとも、なににも喩えようのない食感。甘みの中にほんのり苦みがあり、花びらのおひたしがこんなにも余韻を残していくなんて、、、これぞまさしく大人の贅沢。

いまだに洋食も好きだし、手の込んだ料理も美味しく思える。ただし自身に衝撃を与えてくれるのは、今回のように素材のチカラに触れたとき。「いろんなものを吸収して身に纏っていくのが成長期。」であれば、「余計なものを削ぎ落として角を取っていくのが大人期。」なのではないだろうか。当たり前のことを<もって菊>が証明してくれた。

どんな年代になっても、そのとき感じることを素直に受けとめていきたいと願うばかり
十年後、どうなってるか楽しみじゃ



「まとめ。」

こんな贅沢は<もってのほか
もって菊>をぜひとも食していただきたい

いうても食用菊でしょと思ったアナタ、ホントすごいんだってばさ~
黄色い花じゃなくて、薄紫の花だから!

それではまた来週!

    ボクの話

    道草次郎 物書き
    執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
    本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
    素性は如何に。
    ミスター・アウル
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