第百二話 マッカチン?

第百二話 マッカチン?


あっという間に8月突入。
突き刺さる日差しに暴力的な暑さ。こういう時こそ寒い冬を思い出し、ストーブが日本中を暖かくしてくれていると脳に錯覚をさせてみる。せめてもの足掻き。

さて今回は、タイトルどおり『マッカチン』について話をしてみたい。

それではどうぞ。



「マッカチン。」

ラジオから聴こえてきたワンフレーズ。
「真っ赤な服を着たリンさん!」
まっかなふくのりんさん? まっかなりん? 『マッカチン!』

この単語を口にしたのは、少なく見積もっても40年以上は経っている。あまりにも深い記憶の掘り起こしに自らも驚いていると、「なんすか、それ?」という副主宰からの意外な言葉。「デッカチャン(芸人)?」とか「マッカラン(お酒)?」「赤チン(塗り薬)?」など、『マッカチン』とは似ても似つかない予想の数々。同世代なら誰もが知ってると思ってたのだが、どうやらそうではないらしい。

『マッカチン』とは一体なんなのか、知ってる方いらっしゃるだろうか。
Yahoo知恵袋を調べてみると・・・
<質問>
「ザリガニ」の事を「マッカチン」と呼びますか??
職場の女性が言い張ってます。

思わず笑ってしまう。そんなの聞いたことないとか言われて、どうしても伝えたかった女性の状況が目に浮かぶ。まさにいまの自分。幼少のころから、特に赤くて爪が大きいアメリカザリガニを「マッカチン」と呼んでいた。

ボクが生まれる以前に祖母は駄菓子屋をやっていたらしく、そこでザリガニも売っていたと聞いたことがある。小さい頃から一緒に虫取りをしたりおはじきをしたり、買い物から病院の付き添いまで必ずついて行くほど大好きだった。記憶は定かではないが、そんな祖母から教わった言葉のひとつが「マッカチン」ではないかと思われる。

山の手渋谷区育ちの副主宰と下町足立区育ちのボク。たった数十キロしか離れていないのに、こういった言葉ひとつとっても違いが見られることがとても興味深い。これが日本全国ないし世界規模に発展したら、それはそれはとんでもない違いが生まれるだろうと、ひとり妙に納得してしまう。ちょっと古ければ時代遅れ、さらに古ければ古典的な言葉として扱われるようになる。使う人がいなくなれど、せめて文化的言葉として『マッカチン』はいつまでも生き続けてもらいたいものだ。



「まとめ。」

時代時代で生まれる言葉。
生まれては消え、また再燃して広辞苑などに残り続けるものもある。

正直なところ、時代言葉に対して使うことが気恥ずかしくて仕方がない。意味は理解しておきたいという意識はあれど、率先して会話に取り入れることがどうしてもできない。自分が若かりし頃、ある程度大人の人が若者言葉を連呼しているシーンに遭遇し、「なんかがんばってるなー」って思っていたことが深く影響しているのだろう。

そんな事を考えるようになるとは。。。
『マッカチン』をきっかけにまた飛躍してしまった。

それではまた来週。

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
この記事、如何かしら?
  • キュン (2)
  • WOW (2)
  • NEW (2)