第三十九話 神田のエース

第三十九話 神田のエース


やっと暖かくなってきたと思いきや、もうすぐ梅雨入り。
コラムを書くようになって、季節の移り変わりを敏感に感じれるようになった。

今回は、先日訪れた神田での話。
一読くだされ。



「思い出の神田。」

千代田区神田。
東京駅の隣に位置し、お茶の水や秋葉原にもほど近い、東京の中でも特に文化的で歴史ある街。

高校時代、親友の地元が神田ということもあり、週に3回訪れてはプラプラたむろしていたことを思い出す。江戸三大祭り<神田祭り>は、由緒ある祭りということもあり地元の法被がないと神輿を担げない。神田司町の法被をなんとか手配して貰い、祭りに参加していたほどだ。卒業してからも、なにかっていうと神田に集まっては、夜中に話題のラーメン店巡りをしたり、お酒を飲んだり、麻雀やパチンコしたり。。。懐かしい場所であり、忘れることのできない記憶が詰まった街、神田。



「純喫茶ジャーニー。」

いきなりだが、難波里奈さんをご存知だろうか。
東京純喫茶研究所二代目所長。会社員でありながら、仕事帰りや休日に毎日純喫茶に訪れては魅力を紹介している人。<純喫茶ジャーニー>やSNSで発信を続け、熱烈なファンも数多く書籍なども手掛ける純喫茶マニア。本サイト内ピックアップで紹介した『純喫茶ミニチュアコレクション』を手掛けたのも難波さんだ。

彼女の純喫茶に対する想いは人知れぬもの。時代を経て作り上げられた純喫茶をそのままのカタチで残していきたいと願う。そのために私のできることをやるという真っ直ぐな決意。先日お会いして、とても感銘を受けさせてもらった。好きなことを好きといって邁進できる純粋な気持ちに、ボクの心は洗濯させられたようだ。

汚れているボクが露呈してしまった。



「エース。」

さて、神田に戻ろう。
そんな難波さんが大好きな純喫茶のひとつが、神田にある『珈琲専門店エース』だ。神田っ子(似非)のボクはもちろん知ってはいたものの、入ったことは一度もない。当時はまだ、純喫茶の魅力を知れるほどの思慮深さがなかったのであろう。

昭和46年創業の『珈琲専門店エース』。
雰囲気のある店内は、手書きのメニューに手作りのポップが暖かみ溢れる癒しの空間。元祖”のりトースト”が有名なお店で、トーストされた薄切りの食パンに、のり、醤油、バターを挟んだもの。シンプルながらものり弁をヒントに作られたトーストだけに、日本人で嫌いな人はいいっこない。さらに、ハムチーズトーストにローストビーフサンドイッチまでいただいた。

40種類以上の珈琲の中から、ブレンド珈琲の頂点と記載された<ゴールデンキャメル>をオーダー。趣ある店内で、サイフォン式で淹れられた珈琲をカップ&ソーサーで味わう。なんとも贅沢な時間なのだろう。お店をやられているご兄弟のおふたりともいろいろお話をさせていただき、神田に来たら必ず寄ろうと密かに企んでいるボク。

帰りに、自分へのおみやげで『珈琲専門店エース』のTシャツまで購入。難波さんが少しでもお店の役に立てればと『純喫茶ティーシャツコレクション』と題し、大好きな純喫茶のTシャツを作ったもの。こういう繋がりってなんか良いな~と思いつつ、実りある一日を過ごしたのだった。



「まとめ。」

前回のコラムでも綴ったが、ボクは決して懐古主義というわけではない。
新しいものでも古いものでも、良いものは良いと思える自分でいたいだけ。本サイトの根幹でもあり、ずばり伝えたいことそのものだ。モノゴトだけに留まらず、時間、空間、体感も、人に幸せをもたらしてくれる。

人に貰ったきっかけを、コラムにしてお裾分け。

サンキュー



珈琲専門店 エース
東京都千代田区内神田3-10-6
03-3256-3941

ボクの話

道草次郎 物書き
執筆活動を中心に、ディレクションからモノづくりなどにも取り組むマルチプレーヤー。
本サイト内『じろうの道草』で、コラムも担当する。
素性は如何に。
ミスター・アウル
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